ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》行革PEC=公務員新規採用を取りやめ=公務員に改革認めさせるため=現職員の待遇は変えないとも

《ブラジル》行革PEC=公務員新規採用を取りやめ=公務員に改革認めさせるため=現職員の待遇は変えないとも

パウロ・ゲデス経済相(World Economic Forum/Ciaran McCrickard)

 【既報関連】行政改革のための憲法補足法案(行革PEC)を成立させるため、政府は、国家公務員の新規募集を止め、議員たちからの賛成を取り付けるための取引材料にしようとしていると、17日付現地紙が報じた。
 行革PECには、国家公務員の厚遇を削り、不採算事業や部署を縮小する形の組織再構築(リストラ)を行うための内容が含まれている。昨年成立した社会保障制度改革に続き、現政権が今年中に成し遂げたい課題だ。
 しかし、今年は10月に統一地方選もあり、ゲデス経済相の不用意な発言から、政府は未だPEC自体を議会に提出さえ出来ないでいる。
 連邦政府がPEC提出の時期を探る中、経済省スタッフは、国家公務員の新規採用の一時差し止めを決めた。PEC承認前に採用した公務員には現行法が適用されるためで、定年退職者が出て人員が減り、各自の仕事量が増えれば、公務員側が議会に圧力をかけるとも考えているのだ。
 ゲデス経済相は政権初年度の昨年から、「今政権の4年間で国家公務員の数は大幅に減る」と折に触れて発言してきた。
 経済省の概算では、2020~22年の3年間で、約6万人の国家公務員が退職し、年金生活に入る。2039年までには今の人員の61%が退職する見込みだ。行革PEC承認後に採用された国家公務員には新待遇が適用されるため、国家への負担が軽くなる。
 PEC立案過程について書かれた政府の文書には、「PECの内容は、『今後数年間で定年退職者が増えること』と、『公共サービスのデジタル化』の二つの要素を念頭に置いて練り上げられた」と書かれていた。
 経済省スタッフは、今こそ、これまで出来なかった公務員機構の改革を行うチャンスだと捉えている。経済省スタッフは公務員組合の代表者とも会談し、待遇が変更されるのは、今後新規に職に就く人たちだけで、現職者には影響しないと説得している。
 国庫担当局長のマンスエト・アルメイダ氏も、「国家公務員の新規募集を再開する前に、行革PECを成立させることが重要だ」と強調している。
 現状では、今年の文民国家公務員の新規募集手続きの実施許可は一切出ていない。今年の予算では、想定外の事態が起きた時の緊急時対応計画「コンティンジェンシープラン」に入っているのは、軍またはそれに準じたスタッフの新規採用にかかる費用だけだ。
 行革PEC成立の見通しが立っていないこともあり、政府は、新規採用の代わりに、公共サービスのデジタル化への道も探っている。
 行政組織簡素化、デジタル行政担当特別局長のパウロ・ウェベル氏は12日、「国家公務員の新規採用は、退職までの期間と年金や恩給受領期間とに関係するから、本当に必要かよく検討すべき。必要でないなら、その予算を組織のデジタル化や短期契約スタッフを使った当座の問題解決に使った方が良い」と述べた。