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《ブラジル》石油公社ペトロブラスのスト既に18日目=労働高裁がストは違法と断定=野党も便乗し公社民営化批判

ストは18日も続いた(FUP)

 石油公社ペトロブラス(PB)の従業員が、今月1日からストライキを続けている。労働高等裁判所(TST)は17日、ストは違法と断じ、PBがストに参加している従業員に懲戒処分を科すことを認めたと、17、18日付現地各紙・サイトが報じた。
 今回のストは1995年の32日間に次ぐ規模で、国内13州2万1千人の労働者が参加。PB社やその子会社の精油所、プラットフォーム、ターミナルなど、122カ所で影響が出ている。
 PBは管理職を現場に回す、定年退職者に助力を頼む、下請け労働者を雇う、などの方法で、操業、営業を続けており、国内での燃料生産、流通業務には支障は出ていないとしている。
 PBのロベルト・カステロ・ブランコ総裁も14日に、「PBには不測事態対応チームがあり、生産上の損失は記録していない」と述べた。
 今月4日には、TSTのイヴェス・ガンドラ判事が、「スト中も90%の従業員は就業しなくてはならない」と決定。この決定はTSTの団体交渉に関する専門セクションによっていったん覆ったが、12日に最高裁のジアス・トフォリ長官が決定は有効との判断を下した。
 これを受け、PB側が「労働者たちは90%以上就業するようにとの決定を破っている」と訴えたのを、ガンドラ判事が受け入れたことで出たのが、今回の「ストは違法」との判断だ。
 ガンドラ判事は、「ストは違法。中心となっている石油労統一連盟(FUP)には、政治的思惑があり、国民の生活に最低限必要な量を供給せよとの司法判断にも従っていない」とした。同判事はまた、ストに関わった労組に対する「1日あたり25~50万レアルの罰金」も継続した。
 同判事はまた、セルジッペ、アラゴアス両州でストを行っている労組と、パラー、アマゾナス、マラニョン、アマパーの各州でストを行っている労組には、個別に罰則を加える可能性にも触れた。
 PBは人手不足に対応するため、TSTの判決の前に、採掘・精製部門などの従業員の一部の休暇差し止めも決定していた。
 FUPの指揮で始まったストは、パラナ州のPB子会社アラウカリア・ニトロジェナードス(Ansa)の従業員396人の解雇措置への反対が主な目的だ。FUPは、「PBは労働者と結んでいた協約を守っていない」とも主張している。
 今回のストの動きには野党の左派政党も呼応している。野党側はカーニバル後にはPB民営化に反対する動きも強まるとみており、労働者党(PT)は「PBの解体は外国企業を利するだけで、ブラジルの主権的発展の妨げになるだけ」との声明も出した。