サンパウロ州議会は18日、同州公務員の年金制度改革憲法補足法案(PEC)の基本文書を、賛成57、反対31で1回目の承認をしたと、19日付現地各紙が報じている。
同PECは昨年の12月以降審議が中断していたが、最高裁のジアス・トフォリ長官が18日に審議再開を許可したことで動き出した。
ジョアン・ドリア同州知事が裁可するためには、もう1回の議会承認が必要だ。州政府に近い筋は、2回目の承認は1両日中になされるだろうと見ている。州議会でのPEC承認条件は、「議員定数の60%以上の賛成が2回」だ。サンパウロ州議会の議員定数は94で、承認ラインは57だ。
現地紙は、「同PECが1回目の承認にこぎつけたのは、記名投票だったからだ。もし無記名投票だったら、カウエ・マクリス州議会議長(民主社会党・PSDB)は賛成せず、賛成票は57に届かなかっただろう」と分析している。
同年金改革PECの影響は、年金、恩給受給者55万人と、現役公務員64万3千人に及ぶ。
同PECでは、一般公務員の年金受給開始最低年齢が女性62歳、男性65歳と定めている。州立校教師の受給最低年齢は女性51歳、男性56歳で、同州市警、州立刑務所の職員は男女共に55歳だ。軍警は軍人に準ずるため、PECの中には含まれなかった。
また、遺族年金の支給額は、「死亡した公務員の年金や恩給額の50%で、被扶養者が1人増えるごとに10%増」に変更された。ただし、子供のいない未亡人は最低でも60%は受け取れる。
また、受給条件を満たした後も勤務して、後に年金を多く受け取れる仕組みは廃止。管理職経験者への年金増額も廃止される。
年金改革はPECで触れられていない部分があり、それらは年金関連補足法案(PLC)で対応される。「PLCはPEC承認後にしか採決できない」という予備決定が出ており、PLCの審議はまだ始まっていない。
PLCには、「公務員の給与からの年金天引き率を現行の11%から14%に引き上げる」「恩給の満額受給には40年間の積立が必要」などの規定が含まれている。ドリア知事は、PLCも来週までに成立することを望んでいる。
サンパウロ州政府は、「改革により、今後10年間で320億レアルの節約を見込んでいる」と発表している。
連邦政府は昨年末、民間企業の従業員の年金改革、国家公務員の年金改革、その他各種恩給の改革を盛り込んだ社会保障制度改革を成立させた。その後いくつかの州も、連邦政府に追従して、州公務員の年金改革に動いている。