ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》シジ・ゴメス氏銃撃される=胸に2発も、命に別状なし=立てこもりスト警官に突撃、被弾=覆面警察待遇不満で暴徒化か

《ブラジル》シジ・ゴメス氏銃撃される=胸に2発も、命に別状なし=立てこもりスト警官に突撃、被弾=覆面警察待遇不満で暴徒化か

銃撃を受け、病院に運ばれるシジ・ゴメス氏(twitter)

 休職中の連邦上議でセアラー州元知事のシジ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)が19日午後、セアラー州ソブラル市でスト中の軍警の説得を試み、銃撃されたと20日付現地各紙が報じた。

 セアラー州政府と軍警や消防隊との間の緊張関係は、昨年12月に軍警たちが給与増額を求めた時から続いている。軍警のストは州内各地で起きているが、同市では、スト中の軍警が軍警大隊詰め所の入り口にバリケードを築き、家族と共に立てこもっている。
 ゴメス氏はブルドーザーを運転してバリケードを破壊しようとし、銃弾を浴びた。ゴメス氏は被弾後も意識があり、自分の足で立ち上がり、直ぐに病院に運ばれた。
 同氏が運ばれたソブラル市の心臓病院は19日午後11時、「ゴメス氏は意識もあり、自力で呼吸している」と発表。20日朝には「合併症は出ていない。血行は安定しており、呼吸も出来ているため、集中治療室から一般病室に移る」と発表した。同日午後にはフォルタレーザ市の私立病院に転院した。
 ゴメス氏に当たったのは軍警標準装備の40口径の銃弾で、2発とも左胸に当たった。同州軍警は殺人未遂事件として捜査している。
 ゴメス氏の兄でやはり同州元知事のシロ・ゴメス氏は同日午後6時半過ぎ、「弟は覆面軍警に銃撃されたが、命に関わるケガではない。当局が責任を持ち、野蛮な行為の責任者を速やかに見つけ出すことを願っている」とツイートした。
 ゴメス氏を撃った犯人は覆面をしていたが、当局は警察関係者と見ている。同州では、フォルタレーザ市の軍警大隊から警察車両10台が盗まれたり、警察車両やバイクのタイヤの空気が抜かれたりする事件も起きており、カミーロ・サンターナ知事(労働者党・PT)が連邦政府に国家治安部隊(FN)派遣を要請。セルジオ・モロ法相は即座に派遣を承認し、20日には一部が現地に到着した。後続部隊も21日に到着する予定だ。
 ソブラル市では事件前の19日午後2時頃、軍警らしき覆面の男が、銃を持って街を歩き回り、商店主らに店を閉めるように強制していた。
 ゴメス氏は、「治安を守るべき軍警が治安を脅かす行動とっている。こんなことを許すわけにはいかない」とネットで表明し、「飛行機でソブラルに向かいます。問題を共に解決しましょう」と語る動画をツイッターに投稿していた。
 ゴメス氏は軍警が立てこもっている軍警大隊前まで行くと、メガフォンで「ストは違法行為。5分間猶予するから、家族と共にここから出ろ」と通告。軍警が応じないため、バリケード突破を試み、惨劇となった。
 事件は大反響を呼び、モロ法相は「セアラー州の様子を注視している」とコメント。ダヴィ・アルコルンブレ上院議長(民主党・DEM)も、「事件の進展を心配しつつ見守っている」との声明を出した。