【既報関連】中国を発生源とした新型コロナウイルス肺炎(COVID―19)の世界的流行により、中国からの部品が届かなくなったことで、ブラジル国内でも工場の生産活動などへの影響が拡大している。また、今週は、検査基準が変更された上に、ブラジル国内のコロナ感染者が正式に確認されたことで、ブラジル保健省が毎日発表している「検査中」の人の数が急増した。28日付現地各紙が報じている。
ブラジル電気電子工業会(Abinee)のウンベルト・バルバト会長によると、国内の情報機器関連工場の労働者2万~3万人は、一時的な時短や集団休暇などの対象となるという。
バルバト氏は、「中国以外の別の国から必要な部品を調達することは出来ない」と語る。先週の時点で57%の工場が何らかの問題を抱え、19%が部分的休業の実施もしくは計画中だった。
サンパウロ州ジャグアリウーナ、タウバテ、カンピーナス各市にあるスマートフォンメーカー(モトローラ、LG、サムスン)の製造工場では一時的に、集団休暇や生産停止などの措置を取っている。ブラジル国内で生産される電子機器は、80%がアジアから輸入される部品で生産されている。中国産部品が42%、その他のアジア諸国産が38%だ。
また、電子機器、オートバイメーカーが多く集まる、アマゾナス州マナウスの自由貿易エリア(ZFM)では、工場側と組合側で影響が長引いた場合の対応策が話し合われている。
自動車メーカーや販売店も、部品調達や製品輸入が出来ず、生産停止や新モデルの発表延期を余儀なくされている。
サンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)は26日に7%、27日に2・6%下落したが、経済省は、有効な経済活性化策を打ち出せずにいる。同省では、今年の国内総生産(GDP)成長率予測を下方修正する可能性も出てきている。
感染被疑者が1日で6倍に急増=警戒対象国増えた結果
27日はブラジル国内でのコロナ抑制政策でも大きな動きがあった。保健省が連日発表している「感染疑いで検査中」の数字が、26日の11州20人から6倍以上の16州132人に増えたのだ。同省によると、「検査中」の前段階、「検査が必要か分析中」の人も213人いるという。この213人が加われば検査中の人数は300人を超す。
23日までは、発熱、咳などの症状に加えて、中国や日本など8カ国への渡航歴があるとコロナウイルス感染検査の対象されていたが、24日には、イタリア、フィリピン、イランなど、合計8カ国が加わった。「警戒対象国が16カ国に増えたことが、検査人数が大幅に増えた理由」と政府は説明している。