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サンパウロ市=長期乾季に高温、集中豪雨=60年間の資料で明らかに=地球温暖化の影響避けられず

3日、サントスの水害現場(Glauber Bedini/Govesp)

 過去60年間のサンパウロ市の気候を調査した結果、「乾季の長期化」「記録的高温」「激しい集中豪雨」といった問題にさらされる傾向にあることが明らかになったと、4日付フォーリャ紙が報じている。
 同様の傾向はサンパウロ州内でも見られ、先月10日にはサンパウロ市などで観測史上最大となる大雨を記録。今月2~3日には、サントス市などの海岸部(バイシャーダ・サンチスタ)諸市が、12時間で3月の平均降水量を超えるという大雨に見舞われた。海岸部の豪雨では土砂崩れなどが相次ぎ、4日正午現在で21人の死亡が確認された上、28人が行方不明となっている。
 だが、2013~2015年には記録的な渇水が起き、サンパウロ州最大水系のカンタレイラの水位が1年半近くにわたり、実質マイナスになっていた時期もあった。
 国立気象観測所(Inmet)はこのほど、1961年から2019年までの約60年間に聖市北部で得た気象データを発表した。それによると、同市では以前と比べて乾季が長期化。気温も上がり、集中豪雨も起きやすくなっていることが数字で裏付けられる。
 まず乾季だが、1960年代には「降雨を記録しなかった日が続いた期間」の最高は15日だった。それが2010年代に入ると、2012年に過去最長の51日を記録したのをはじめ、18年には48日、19年にも28日を記録するなど、著しい長期化傾向を見せている。
 気温に関しても、サンパウロ市北部の観測所では2010年代まで、最高気温が35度を超えたことがなかった。だが、2010年代以降は、2015年に記録した35・9度を筆頭に、35度を超えることが珍しくなくなっている。
 最低気温も、1961~69年で最も高い最低気温が61年の9度だったのに対し、2011~19年で最も高い最低気温は2015年の11・4度のように、上昇傾向にある。
 年間平均気温も、1961~69年で最も高い61年の20・6度に対し、2011~19年で最も高い14年は22・2度を記録。19年も22度を記録している。
 また、1日の降水量を見ても、1980年代までは、100ミリを超えた日が1日しかなかったが、2010年代は6日もあった。
 全国自然災害調査センターの科学者マレンゴ・デ・カマデン氏は、「気温上昇は、都市化や化石燃料の使用、森林伐採などによって必然的に起こる」と指摘している。
 環境科学研究所のラファエル・バチスタ氏は、「2099年の大サンパウロ市圏では、1日の平均気温が25度を超える日が40%を記録するようになるだろう」との見方を示している。