新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国際市場の混乱でレアル安が進み、5日には史上最安値を更新する1ドル=4・651レアルを記録した。6日付現地紙が報じている。
国際為替市場は2月後半から不安定な状況が続いているが、5日の為替市場は12日連続となるレアル安を記録した。
この日は一時、4・667レアルまで下がっていたが、ブラジル中銀が計30億ドル分の売り介入を行ったため、4・651レアルに抑えられた。
これで、2020年に入ってからのドルは、昨年の為替の最終日にあたる12月30日に記録した1ドル=4・014レアルより15・9%高くなった(レアルで見ると目減り)ことになる。
レアルは為替市場で取引される34通貨中、最も目減りしている。ワースト2~5はアフリカ南部エワティニの通貨リランゲニなどの11%減だから、レアルの下げ幅の大きさがわかる。エコノミストのシルヴィオ・カンポス・ネット氏は、「ブラジル通貨がここまで強い圧力を受けたのは記憶にない」と語っている。
また、これに伴い、株価も暴落した。サンパウロ平均株価指数(IBOVESPA)は前日比で4・65%下がり、10万2233ポイントとなった。この下げ幅は昨年10月10日以来という大きなもので、5日午後には一時、6・2%減も記録していた。なお、IBOVESPAは2月26日にも、7%ダウンを記録している。
平均株価も、昨年12月30日の11万5645ポイントより、11・6%下がっている。
また、レアル安、株価下落だけでなく、ブラジルは投資家たちからの信頼の点でも評価を大きく下げている。
5日に記録した5年もののクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)の数値は129ポイントで、前日比で14・4%上昇した。CDSはその国のリスクを示す数字とみなされるが、CDSがこれほど上がったのは、当時のテメル政権を揺るがしたJBSショックが起きた2017年5月18日の29%以来のこととなる。
また、昨年の12月30日の5年もののCDSは100ポイントで、その頃から29%も不信感指数が上がっている。
CDS上昇は、1月に勃発した新型コロナウイルスの感染拡大に伴う市場の不安定さと、米国の中銀・連邦準備制度(FRB)が3日に0・5%ポイントの緊急利下げを行ったことに加え、ブラジルの昨年の国内総生産(GDP)が、1・1%という、期待を下回る成長率で終わったことも関係しているとの指摘もある。
パウロ・ゲデス経済相は5日、コロナウイルスの影響で、2020年のGDP成長率は最大0・5%ポイント下がりうるとの見解を示している。
なお、IBOVESPAは6日も4・14%下げ、昨年8月の水準の9万7966ポイントとなった。今週の累積での下げ幅は5・95%、今年に入ってからの累積では15・28%の下落となる。