新型コロナウイルスが世界中に拡散し、各国政府や保健当局が対応に追われている中、不安に駆られた市民の間で、コロナウイルスに関する嘘の情報“フェイクニュース”が拡散されている。
ブラジルメディアは、「Sarsが騒がれた2003年は、今日世界に普及しているSNSは何も存在しなかった。新型インフルが騒がれた2009年のフェイスブック利用者は全世界5億人だったのに、現在は23億人。日本以外の欧米諸国やブラジルでも流行っている通信アプリ、ワッツアップは2009年に出来たばかりだが、現在は23億人が利用している。今回の新型コロナウイルスショックは、世界規模の伝染病とSNSの流行が重なった初めてのケースだ」と分析している。
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は、「我々が戦っている相手は伝染病そのものだけではない。フェイクニュースの拡散とも戦っている」と語った。
同事務局長は、1月30日に、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した直後、WHO内部に、正確な情報を広め、フェイクニュースを抑えるための専門チームを作った。正確な情報より、フェイクニュースの方が何倍も広まりやすいことが、こうした取り組みを困難にしている。
新型コロナウイルスの集団感染が発生しているイランでは、9日に、「アルコールを飲むことがウイルス対策に効果がある」とのフェイクニュースを信じ、密造酒を飲んで中毒死する事件が起きた。
その他にも、「新型コロナウイルスは中国が生物兵器に使おうとして製造した」、「アボカド茶、ハイビスカスティーやウイスキーを飲むと新型コロナウイルス感染症の予防になる」、「新型コロナウイルスは、遺伝子組み換えで発生し、その遺伝子構造はHIVウイルスに似ている」、「中国からの輸入品にはコロナウイルスが付着している」などの嘘がブラジル国内で広まっている。
リオ市のオズワルド・クルス研究所(Fiocruz)所属研究員、イーゴル・サクラメント氏は、「人々は新たな伝染病が発生すると、知らないものへの恐怖心から動揺する。ただし、大げさに噂になって、発生しているパニックのほとんどは、事実には基づいていない」と語っている。(10日付エスタード紙より)
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