ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ対策=1470億レアル規模の経済政策発表=政府支出の拡大は含まれず=株5%上げ、ドル5レ維持

《ブラジル》コロナ対策=1470億レアル規模の経済政策発表=政府支出の拡大は含まれず=株5%上げ、ドル5レ維持

経済政策を発表するゲデス経済相(中央・経済省提供)

 【既報関連】ブラジル株が13・9%下落し、ドル/相場は史上初の1ドル=5レアルラインを突破した16日、パウロ・ゲデス経済相は新型コロナウイルス感染症(COVID―19)による経済への影響を緩和するため、1473億レアル規模の経済活性化策を発表したと16、17日付現地各紙・サイトが報じた。
 政府案の内訳は、834億レアルが高齢者や経済的困窮者向け。594億レアルが、企業が無闇な首切りや雇い止めに走らないように納税期限を延期することなどを含む、雇用維持向けだ。残る45億レアルは、新型コロナウイルス対応費用だ。
 政府は既に先週、年金や各種恩給の13カ月給の半分にあたる230億レアルを4月に前倒しで支給すると発表していたが、残る半分の230億レアル分も5月に支給すると発表した。社会統合基金(PIS)と公務員財形計画(Pasep)の積立者へのボーナス(アボノ・サラリアル)の一部も、前倒しで払われる。これによる経済効果は128億レアル規模だ。
 PIS/Pasepで引き落としされず、休眠状態だった資金215億レは、より引き出しニーズの高い、勤続期間保障基金(FGTS)に移される。
 また、生活扶助(ボウサ・ファミリア)にも、31億レアルが追加される。    
 16日に発表された案は全て、個人、法人が受け取れるはずだったお金を早めに渡したり、支払うべきだったお金の支払期限を遅らせたりしているだけで、政府としての追加の出費は含まれていない。
 経済相は先週から、コロナショックへの対応が遅いと批判を受けていたが、「国中がパニック状態で悲観論一色の中、責任者探しの無駄な議論に加わる気はなかった」と自身を名指しで非難したマイア下院議長(民主党・DEM)を暗に批判した。経済相はまた、今回の活性化案は始まりに過ぎず、今後数日間で二の矢、三の矢を放っていくとの意向も表明した。
 噂に上っている、大幅減便に苦しむ航空業界への税金支払い先延ばし策や、観光業界支援策は、経済省内で議論が行われている最中だ。
 昨年のブラジルの国内総生産(GDP)成長率は、1・1%増に止まった。ボルソナロ大統領は「今年のノルマは最低で2%成長」とゲデス経済相に語っていたが、16日に発表されたフォーカス(国内主要金融機関による経済指標予測集計)では、GDP成長率予測は先週の1・99%から1・68%に落ちた。
 16日に大幅に下がったブラジル株は、17日に若干反発。同日午後5時現在のサンパウロ市株式市場指数(Ibovespa)は、前日比5・28%高の7万4927・3ポイントをつけた。為替は一旦4レアル台を回復したものの、17日午後5時現在では前日比0・8%ドル安の、1ドル=5・004レアルだった。