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《リオデジャネイロ》ギャングの抗争激化=銃撃戦は1日平均10件以上=警察はコロナ対策に手を取られ鎮圧できず

リオのファヴェーラの治安維持活動を行う陸軍兵士(参考画像・Tomaz Silva/Ag. Brasil)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、リオ市でも24日から外出自粛令が出されているが、感染拡大防止策の実効性を高めるために警察の力が割かれていることで、犯罪組織(ギャング)同士の抗争が増加。リオ市の住民は外から聞こえる銃声に悩まされていると、25日付UOLサイトが報じた。
 リオ市内のどこで銃撃戦が発生しているかを伝えるアプリ、フォーゴ・クルザードの統計を基にUOLがまとめた調査によると、リオ州政府が住民に対し、集会を禁じ、不要不急の外出を避けるように要請した後は、犯罪組織間の抗争がむしろ増え、銃撃戦の発生件数も増えている。
 リオ州のウィルソン・ヴィッツェル知事(キリスト教社会党・PSC)は3月17日に、コロナ感染拡大防止策として、学校閉鎖、スポーツイベントの中止、劇場、映画館の閉鎖、公共交通機関の減便などの制限措置を発表した。
 今年に入ってから3月13日までのリオ市内での銃撃戦発生件数は、1日平均8件だったが、13日以降は10件以上に増えた。
 14日から22日までの9日間で、リオ市内では合計97件の武力衝突があり、そのほとんどは犯罪組織間の衝突だった。
 市民に行動制限が課せられている中、警察によるファヴェーラ(スラム街)への介入活動は大幅に減少し、銃撃戦は増加した。リオ州でコロナウイルスの危機が叫ばれ始めるまで、警察はリオ市内の銃撃戦の35%に関わっていた。だが、制限措置が始まってからは、この割合が半分に減少。現在の割合は17・5%だ。つまり、銃撃戦の8割以上は、警察の統制が効かなくなった状態で、犯罪組織同士が抗争を行った結果だ。
 新型コロナウイルス災禍のせいで、軍警や市警の一部はリオ市の交通規制などにも動員された。これが、警察を治安悪化地帯に派遣できなくなっている理由の一つだ。
 治安が悪化している地区の一つは、リオ市北部のキンチーノ地区だ。この数日間、ミリシア(犯罪者の民兵組織)と麻薬密売組織のコマンド・ヴェルメーリョ(CV)との間では、「モーロ18」と「サスー」地区の支配権を巡って、激しい抗争が起きた。リオ市内ではその他にも、市北部のコスタ・バロス地区では、CVと第三コマンド・プーロ(TCP)が、抗争を繰り返している。また、市西部バングー地区のヴィラ・ケネディ、同じく市西部カンポ・グランデのファヴェーラ、カロビーニャでも抗争が発生している。
 軍警予備役大佐のロブソン・ロドリゲス氏は、急激な犯罪組織の抗争激化は、警察によるファヴェーラ治安維持活動の削減が原因である可能性があると推定している。
 UOLは軍警と市警に対し、コロナウイルス感染拡大防止対策が行われている間、ファヴェーラの治安維持活動が減っている理由の説明と、リオ市の治安悪化を防ぐために実際にどのような行動を取っているか質問したが、警察側は回答を拒否し、「治安研究所の公式データに基づいていないことに対しては回答しない」との声明を発表した。