【既報関連】ブラジル連邦上院は3月30日、遠隔会議システムを使って本会議を行い、コロナショックで経済的に困窮する非正規雇用者、零細個人企業家、自営業者、家計の長である母親を援助する緊急援助法(auxílio emergencial)を賛成79票、反対0票で承認。ボルソナロ大統領の裁可待ちとなった。3月30日付現地ニュースサイトが報じた。
同法は一定の条件を満たす非正規雇用者らに月々600レアルを3カ月にわたって給付するもので、受け取れるのは1世帯2人まで。ただし、片親家庭の家計の長である母親は、1200レアルを受け取れる。
緊急援助金を受け取るには、年齢や雇用・就労形態などの条件に加え、世帯収入が一定のラインを超えていないこと、また、ボルサ・ファミリア(BF)以外の社会保障を受け取っていないことなどの条件がある。違反が見つかった場合、援助はカットされる。
BFを受給している人たちに関しては、緊急援助法で受け取る額の方が多ければ、BFは一時的に中断され、緊急援助に置き換えられるが、BFと緊急援助を二重に受け取ることは出来ない。
上院付機関の独立税制監査院(IFI)の試算では、恩恵を受けるのはおよそ3080万人で、国家財政への影響は598億レアルだ。先週の歳出予測は430億レアルだったが、この時は、「家計を支える母親たち」への支払い総額が考慮されていなかった。上院が承認した法案は、通常の勤務形態より勤務時間が短い、または勤務日数が少ないインテルミテンテも対象に含んでいるため、その分も加算されている。
報告官のアレッサンドロ・ヴィエイラ上議(シダダニア)は、下院が送ってきた案にいくつかの変更を加えた。この変更は下院で採決しなおす必要はない。変更の一つとして、「受益者の登録遅れがあったとしても援助が確実に給付されるように、給付金は1カ月に3回の分割払いで支払われる」がなどある。
法案では、援助金の支払いは国営銀行が行うことも定義した。また、コロナショックの推移次第で、当面は3カ月間と決まっている緊急援助給付期間を政府が延ばすことも認めている。
また、高齢者や身障者への特別恩給(BPC)の受け取り待ちをしている人に対しては、国立社会保障院(INSS)が3カ月間、600レアルを前払いすることや、一定の要件が満たされている場合、疾病手当給付待ちの人々に対しても法定最低賃金を支払うことも承認した。
市民相のオニキス・ロレンゾニ氏は、実際に労働者の手に援助金が渡るためにはなお、「ボルソナロ大統領による裁可」と「法令運用規定の制定」、「支払いを実行可能にするための暫定令」の三つの段階を経る必要があるとした。
同相は、「まだ銀行には詰めかけないで欲しい。また、こうした給付金支払いの際には、悪質な詐欺もはびこるから十分に注意するように」とも語った。