「今回のコロナショックは戦後最大の国難です。アンケートに回答があった全ての会社がコロナウイルス感染対策を行っていた。だがその一方で今回の災禍があまりに突発的で、必要な社員全員のテレワーク化が実行できていない会社が多い」――ブラジル日本商工会議所が実施した「新型コロナウイルスに関するアンケート調査速報」に関して、平田藤義事務局長に電話取材をしたところ、そう現状を要約した。同会議所は3月27日、同アンケート調査速報を発表した。アンケート対象は主に日系進出企業349社、そのうち回答社数は128社。
コロナウイルス感染対策を行っている会社は100%。その中でも最も多かった対策は『在宅勤務』(92%、117社)だった。
在宅勤務を行う従業員の割合としては、全従業員の在宅勤務を実行している会社は28%、33社。その他、86社の社員在宅勤務率は90~10%とかなり高い比率で在宅していた。
在宅勤務が必要だが実行できない従業員がいる理由の中で最も多かったのは『自社ノートパソコンの絶対数不足』。持ち帰り可能なパソコンの数が圧倒的に不足している現実が浮かび上がった。
それに付随して、以下のような問題も明らかになった。『セキュリティー上の問題』―情報漏えいを懸念し、在宅勤務に移行できないこと。『レンタル会社からの調達不可』―在宅勤務に必要なパソコン数をレンタル会社が保有していないこと。『リモートテレワークシステムの設置不可』―在宅勤務を行う為の設備(安定したインターネット環境など)が社宅に整ってないこと。
加えて各社工夫を行い、『時差出勤・交代勤務の導入』『出張・訪問・会議の中止』『国内外渡航・イベント参加の自粛』『各会社への入場制限』『入館時の検温』『危機管理委員会の設定』などの対策も実施している。
今回の新型コロナウイルス感染防止対策として、クアレンテーナ(検疫)の発令により、外出自粛・在宅勤務要請がだされているが、現時点で困難であることが本アンケートによって可視化された。
なお回答提出した部会は、コンサルタント、生活産業、運輸サービス、金融、貿易、機械・金属、化学品、貿易、食品、電気・情報通信、自動車など多種多様。また業種内訳は128社の内、製造販売業が45%(58社)、サービス業が30%(38社)、その他25%(32社)。
アンケート詳細は同会議所サイト(http://jp.camaradojapao.org.br/upload/files/03.04.20新型コロナウイルス%282%29.pdf)まで。
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ブラジル日本商工会議所自体も、在宅勤務でこのようなアンケートを続々と実施するなど緊急体制で臨んでいる。中国からの部品供給が絶たれたり、航空便が減ったことで物流が滞ったり、社員に感染者が出て、事務所や工場に影響が出たりと、日系企業も様々な困難に直面しているようだ。そんな中、15日には「トヨタ・ド・ブラジルが生産を再開するのは6月から」との報道が流れた。一刻も早くコロナ禍が収まり、通常の経済活動が戻って欲しいところだ。