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《ブラジル》連邦医師審議会が条件付でクロロキンの使用を許可=米国では有効性疑う結果も

市販薬のクロロキンとヒドロキシクロロキン(Marcello Casal Jr./Agencia Brasil)

 【既報関連】連邦医師審議会(CFM)が23日、新型コロナウイルス感染症治療薬として、抗マラリア剤のクロロキンとヒドロキシクロロキンを使う事を条件付で認めたと23、24日付現地紙、サイトが報じた。
 19年に特定された新型ウイルスは、「重症急性呼吸器症候群(SARS)」を引き起こしたウイルス(SARS-CoV)や「中東呼吸器症候群(MERS)」の原因のウイルス(MARS-CoV)、一般の風邪を引き起こすウイルスと同種のコロナウイルスだ。新型コロナはSARS同様の呼吸器系疾患を招くが、無症状者や軽症者が多く、発症前から他者への感染を起こすなどの特徴があるため、SARS2型コロナウイルス(SARS-CoV2)と命名された。
 新型コロナの致死率は低いとされているが、誰が感染しているか、いつ症状が急変するかなどがつかめず、感染力も強いため、結果的に、02~03年に流行したSARSウイルスを上回る死者を出している。

 新型コロナには予防接種ワクチンや特効薬がないため、既存のワクチンや薬を使った開発や研究が進められている。
 CMFの決断はボルソナロ大統領との会談後に発表されたが、薬の使用には条件が課せられた。
 CMFは、新型コロナ感染症(COVID-19)に有効だとの科学的な証拠は不十分だから推奨はしない事を明言。これらの薬を使うのが最善と判断した医師が、現状では確立した治療法がない事や副作用がある事なども説明し、患者や家族からのコンセンサスを取った上で使う事が条件だ。
 使用が認められるのは、その他の感染症ではない事が明らかで、コロナ感染が確認されている患者(軽症者から重症者まで)で、クロロキンとヒドロキシクロロキンが有効と認められる場合に限られる。
 クロロキンとヒドロキシクロロキンは、関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどの自己免疫性疾患、マラリアなどの治療薬で、トランプ米大統領やボルソナロ大統領がコロナ感染症への使用を求めているが、コロナ感染症への有効性や安全性は実証されていない。
 22日付現地紙サイトは、米国で行われた入院中のベテラン軍人368人を対象とする臨床試験で、ヒドロキシクロロキンを与えなかった対照群の致死率は11%だったが、同薬を与えたグループの致死率は22%だったという結果を報道。米国の専門家の一部は、これらの薬は推奨しないと明言してもいる。