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《ブラジル》先住民、5日で感染者3倍に=コロナ禍で熱帯雨林伐採が激増

病や不法侵入に怯える先住民達(Antonio Cruz/Agência Brasil)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大が世界中を脅かす中、物言わぬ森林やより脆弱な先住民も危機に直面していると26日付現地紙サイトなどが報じている。
 森林が危機に直面している一例は法定アマゾンだ。昨年は国際社会が法定アマゾンの森林伐採や森林火災の増加に警告や抗議の声を上げたが、今年はコロナ蔓延で、国際社会の目も届き難い。
 コンサルティング会社エウラジアの26日の発表によると、国立宇宙研究所(Inpe)の伐採監視システムによる森林伐採面積は前年同期比で51%増えたという。8日付エスタード紙も、昨年8月~今年3月の森林伐採量は前年同期の倍近いと報じている。同システムのデータは毎日公表されており、不法伐採摘発などに使われる。
 18年8月~19年7月の政府公認の法定アマゾンの森林伐採量は前年比30%増の9762平方キロで、16/17年以降、3年連続の前年比増と、国際社会からの批判が続いた。
 例年なら雨季は森林伐採が減る。だが、10日付G1サイトも、3月の法定アマゾンの森林伐採は326・51平方キロで、昨年同月比で29・9%増と報じた。 
 3月の州別伐採量最多はパラー州の122平方キロで、アマゾナス州73平方キロ、マット・グロッソ州68平方キロと続く。アマゾン人間・環境院(Imazon)は、パラー州では二つの高速道の工事が進んでいる事に加え、穀物輸出用の港の建設もあって伐採量が増えたと見ている。
 だが、パラー州で起きているのは森林伐採増加だけではない。同州では今月、3カ所の先住民保護区で行われていた不法な資源採掘の摘発が行われたが、その直後の14日に、摘発を指揮した国立再生可能天然資源・環境院(Ibama)の理事が解任された。
 リカルド・サレス環境相は15日、不法採掘を行った採掘者の機材焼却が、ボルソナロ大統領が出した焼却禁止の指示に反したから解任したと説明した。だが、先住民保護区での資源採掘に対しては今も、国内外で批判が続いている。
 また、コロナウイルス蔓延下、先住民保護区や周辺で行われる不法伐採や不法採掘は先住民を別の意味の危険に晒す。
 先住民は感染症に対する免疫力が低く、経済力や医療体制といった面も脆弱なため、感染者が出れば一気に蔓延する。保健省先住民保健特別局によると、13日現在の先住民のコロナ感染者は9人、18日は26人、23日には75人で、5日毎に3倍増(10日間で733・3%増)。9~10日で感染者倍増という国内全般の数字をはるかに上回るペースで感染が拡大している。