ホーム | 日系社会ニュース | 11人が受勲の栄誉に輝く=コロナ吹き飛ばす春の叙勲=芸術、政治、経済など多分野で

11人が受勲の栄誉に輝く=コロナ吹き飛ばす春の叙勲=芸術、政治、経済など多分野で

 「今回の叙勲の受賞を、心の底から嬉しく思います。それと同時に、今まで以上に日伯間の交流と発展に貢献できるよう、より一層励まねばと感じております」――春の叙勲を受勲した一人、飯星ワルテル氏は電話取材に応じて、そう丁寧に、嬉しそうに答えた。日本政府は4月29日、2020年(令和2年)春の受勲者を発表した。ブラジルからは邦人2人、外国人9人の計11人が叙勲を受けた。受勲者名とその功績は以下の通り(敬称略)。

【邦人叙勲】

若林和男氏

若林和男(88)=旭日双光章=戦後のブラジル画壇における日系美術会を牽引した代表的画家の一人。日本人ブラジル移住100周年に際し、記念事業である「ブラジル日系画家百年の歩み展」の日本開催や、同110周年に日伯両国を象徴した記念ロゴマークのデザインを担当するなど、日伯間の文化交流及び友好親善の促進に尽力した。

山田和三氏

山田和三(79)=旭日単光章=元カンポ・グランデ日系協会会長、元リオデジャネイロ州日伯文化体育連盟理事兼日本語普及会会長。リオデジャネイロ州にて、長年に渡りブラジル社会に日本語の重要性を認識させ、日本語の基礎を築くことに尽力した。
【外国人叙勲】

飯星ワルテルシンジ氏

飯星ワルテルシンジ(58)=旭日中綬章=元伯日友好議員連盟会長、元下院議員。3期に亘り連邦下院議員を勤めた。日本人ブラジル移住100周年事業において、ブラジル日系社会を代表して訪日するなど、数少ない日系人政治家として日伯関係の強化・促進に尽力した。

大田慶子イオランダミアシロ氏

大田慶子イオランダミアシロ(63)=旭日中綬章=元伯日友好議員連盟会長、元下院議員。日系女性として初のブラジル連邦下院議員となり、2期に亘り勤めた。日本文化広報事業として、連邦下院レストランにおける国際和食ウィークの開催を発案し、数少ない日系人政治家として日伯関係の強化・促進に尽力した。

杉尾憲一郎氏

杉尾憲一郎(82)=旭日中綬章=元グアルーリョス大学大学院地球環境分析学教授、元サンパウロ大学地球科学部教授、元ブラジル日本文化福祉協会評議員会会長。ブラジルにおける地質学者としてサンパウロ大学等で50年以上に亘り教鞭を執り、地質学に関する論文・書籍を日本語で発表。また、日本人研究者との緊密な学術交流により日本の地質研究の発展に寄与するなど、日伯両国間の学術交流に尽力した。

中野慶昭氏

中野慶昭(75)=旭日中綬章=現ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(FGV)サンパウロ経済学校長、元サンパウロ州財務長官。FGVサンパウロ経済学校長としてブラジル社会発展に貢献する卒業生を多数育成すると同時に、日本の大学教授、有識者、学生などを積極的に受け入れ経済分野における日伯間の知的交流に尽力した。

中谷アンセルモ氏

中谷アンセルモ(78)=旭日小綬章=元日伯文化連盟理事長、元古河電気工業株式会社ブラジル法人社長。ブラジル日系社会を代表する経済人として古河電気ブラジル現地法人の社長職を長らく勤めた後、日伯文化連盟(アリアンサ)の理事長として、日本語学習や文化活動の為の環境整備を行い、日伯両国間の経済関係および交流に尽くした。 

桂川富夫氏

桂川富夫(74)=旭日単光章=現ブラジル日本文化福祉協会副会長(文協)、元サウーデ文化体育協会会長。文協農業関連交流委員会委員長を務め、日系農家間の交流および農業分野における日伯連携強化に貢献。その他、サウーデ文化体育協会では、日本人移住の歴史や日本文化への理解を促進する事業を実施し、日伯間の交流強化に尽力した。

エジソン・ヒロカズ・ワタナベ氏

エジソン・ヒロカズ・ワタナベ(67)=旭日中綬章=現リオデジャネイロ連邦大学大学院工学研究科教授。同大学院教授として、日本人研究者との共著で本を出版するなど、長年に亘り科学技術分野における日伯の学術交流に尽力した。

テイシュン・ヒラマツ氏

テイシュン・ヒラマツ(72)=旭日双光章=現デカセギ協会会長、元クリチバ日伯文化援護協会会長。ブラジルデカセギ協会では、元デカセギ者の生活及び就業支援などを実施し日伯関係の緊密化に貢献。また、元クリチバ日伯文化援護協会では、スポーツや文化活動及び日本祭りの開催を通じ、日本とブラジルの相互理解の促進に尽力した。

吉井貴美子氏

吉井貴美子(79)=旭日双光章=現ロンドリーナ・グアルダ・ミリン母子保護協会会長。同協会会長として、更生や教育活動を通じて多くの青少年の救済に貢献した。また、日本人ロンドリーナ移住100年祭に際し、同委員会・接待コーディネーターを勤め、対日理解の促進と日伯友好親善に尽力した。


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 栄えある受勲を受けた飯星ワルテル元連邦下議に近況を聞いた所、現在もサンパウロ州商業評議会(JUCESP)の会長という要職にあり、コロナ災禍のために在宅勤務を基本にしながらも、週3回出勤という生活を送っているという。昨今猛威を奮っているコロナウイルスの悪い影響が色んな分野に現れており、「10月に予定されている地方統一選挙を後にずらすことも議論に上がっている」と心配していた。誰にとっても難しい時代のようだ。