【既報関連】ブラジルでの新型コロナウイルスの感染者が7万人、死者も5千人を超えた28日、米国のトランプ大統領がブラジルとの航空便停止を示唆したと28、29日付ブラジル国内紙、サイトが報じた。
トランプ氏は28日、ブラジルは深刻なコロナ禍に襲われており、その流行状態は他の南米諸国とは異なるとの懸念を表明すると共に、現在も運行が続いているブラジルとの間の航空便を停止する可能性も示唆した。ブラジルとの便は、フロリダ州との間の線二つとテキサス州との間の線一つで、計9便が運航を続けている。
米国はまだ、ブラジル人の渡航を禁止してはいない。だが、航空便の運航停止は3月末にも話題に出ており、ブラジル人には不要不急の旅行回避を勧告。ブラジルから帰国した米国人には14日間の自宅隔離を守る事も命じている。
また、在ブラジル米国大使館は既に、ブラジル在住の米国人達に、即時帰国か、現在地に長期滞在するつもりかのどちらかを選び、準備するようにとの通達を出している。
トランプ氏の発言は、経済活動再開についてのフロリダ州知事との会談の席で出たもので、「ブラジルで深刻な流行が起きている事は知っているだろう? ブラジルの現状は南米諸国とは違う。残念だが、ブラジルで何が起きたかは今後の数字でわかるはずだ」と語った。
フロリダ州知事は、ブラジルとの航空便の即時停止は不要との考えを示したが、トランプ氏は、「必要だと思ったらすぐに知らせろ」とも命じた。
米国は感染者数、死者数共に世界一で、28日には感染者数が100万人を超え、死者も6万人に達する勢いだ。だが、28日の死者増加数は世界一ではあったものの、前日比では減少。1日の死者数上位5カ国では、ブラジルだけが前日の338人を上回る474人増を記録し、感染拡大が続いている事を露呈した。
この事は、ブラジルの社会的隔離策が効果を挙げていない事を示している。特に、ボルソナロ大統領が「外に出よ」と言い始めた頃からは隔離率が落ちる傾向がある。ショッピングセンターの営業を認めた州では感染者が増えており、社会的隔離の緩和が感染拡大抑制効果を殺ぐ事が明らかだ。
また、23日以降、1日の感染者数が、3379人~5514人増えている事は、緊急援助金引き出しなどで長蛇の列が出来た事なども反映した動きといえそうだ。死者も26日以外は338人~474人増えており、医療崩壊が起き始めた事を示している。