【既報関連】新型コロナウイルスの被害は拡大の一途で、3日には感染者数が10万人を超えた。4日の保健省発表では、感染者数は10万5222人、死者は7288人となり、前日発表より、感染者は4075人(4%)、死者は263人(3・7%)増えたと同日付現地サイトが報じている。
マーケティング部門勤務で脊髄性筋萎縮症患者のイエスカ・ツバウジーニさん(28)は、3月8日から隔離に入っている。脊髄性筋萎縮症患者に不可欠な理学療法も、それ以来中断している。
世界保健機関(WHO)によって示された、コロナ感染防止規定に従うことが難しいため、身障者はコロナに感染する可能性が高くなる。
イエスカさんは、「体を動かさないでいると、脊髄性筋萎縮症患者の身体機能は速く失われる。なるべく家の中で体を動かそうとしているが、理学療法士の助けを借りられず、困っている」と語る。
アナ・ルシア・ランジェル医師は、「脊髄性筋萎縮症患者や筋ジストロフィーの患者は元々、心臓や肺の機能が低下している。その上にコロナウイルス感染症が重なれば、病状が深刻化する可能性が高い」とした。
イエスカさんは、「感染拡大ペースが収まれば隔離は緩和されるかもしれないけれど、私の場合は、ワクチンが開発されるまで外出できない」と語る。
地理統計院(IBGE)によると、ブラジルの人口の約22%(4500万人)は、何らかの障がいを持っている。
政府は3月に身障者向けの新型コロナ情報をまとめた冊子を発行した。だが、全ての身障者がコロナウイルスのリスクグループと見なされた訳ではなかった。リスクグループと見なされたのは、呼吸器に障がいを持つ人や免疫力が低い人、60歳以上、糖尿病、高血圧、心臓、肺、腎臓などの慢性疾患、神経疾患などの患者、がん治療受診者だけだった。
ブラジルニュースサイトは、「身障者をコロナウイルス感染から守る独自の規定があるか」、また、「身障者を介護している人がコロナにかかり、入院、または隔離された場合、公的保健システムとして、身障者に対する何らかの援助を与えるか」と保健省に質問したが、返答はなかった。
マラニョン州ではロックダウンも
感染拡大が収まらない中、マラニョン州地裁は4月30日、「州都サンルイス都市圏の4市で、5月5日からの10日間、『都市封鎖』(ロックダウン)を行う」との司法判断を下した。ブラジル国内でロックダウンが敷かれるのはサンルイスが初だ。
これにより、食料供給産業、薬局、港湾産業を除く、非基幹産業は活動停止となり、健康管理、保安活動のためのトラックや救急車両を除く車両の出入りも禁止される。銀行と宝くじ店は、緊急時支援金、給与、福利厚生の支払いのためにのみ営業する。また、外出時のマスク使用も義務だ。 司法判断を下したドウグラス判事は、「州民が外出自粛要請をきちんと守らないせいで、感染者、死者が増え続けている」と理由を説明している。