セルジオ・モロ前法相が2日に連邦警察でボルソナロ大統領の連邦警察介入疑惑の証言を行ったことに伴い、大統領支持派の抗議行動がエスカレートし、1〜3日には暴力沙汰まで起きて問題となった。大統領自身も3日に大統領官邸前で抗議者を前に演説を行い、軍事クーデターをほのめかすような発言まで行った。1〜4日付現地紙、サイトが報じている。
1日からの3連休、ブラジルの空気は緊迫したものとなった。それはモロ前法相が2日にパラナ州クリチーバの連邦警察で、同氏が4月24日の辞任会見で明らかにした大統領による連邦警察への干渉疑惑に関する証言を行うことが発表されていたためだ。そのため、全国の大統領支持者の間に焦燥感が募った。
それに先立つ1日は、ブラジリアの三権広場で看護師団体が行った、労働環境の改善と社会隔離の順守を求めるデモにボルソナロ支持者がまぎれ込み、女性看護師たちを殴り、怪我を負わせる事件が起き、国民の強い反感を招いた。
2日にはモロ氏がクリチーバの連邦警察に出向いたが、同警察の前で、ボルソナロ派とモロ派が対立し、一触即発の雰囲気も生まれた。
モロ氏は同日昼過ぎに連邦警察に到着し、携帯電話や録音などの証拠を見せるなど、計8時間にわたって証言を行った。証言の具体的な内容は現時点で明らかにされていないが、一部報道によると、モロ氏は大統領との会合に同席した連邦政府の大臣の名前を少なくとも2人挙げ、大統領の干渉の証拠も少なくとも七つ提示したという。
3日は、大統領官邸前で反モロ、反連邦議会、反最高裁のデモが行われたが、ここでもエスタード紙の記者がボルソナロ支持者に殴る、蹴るの暴力を受けて、問題となった。この日は「世界報道自由デー」で、報道の自由が尊重されるべき日だった。
ボルソナロ大統領は米国旗とイスラエル国旗を持って群衆の前に立ち、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事からアレシャンドレ・ラマジェム氏の指名を拒否されたことに関して、「限界は超えた。我慢できない」と語った上、「政府側には軍隊が付いている」と、軍事クーデターをちらつかせる発言まで行った。
ラマジェム氏は、連邦警察の捜査対象となっていた大統領次男カルロス氏の友人で、一家に関する捜査の情報を入手することも望む大統領が、連警長官に同氏を就けるべく、前長官の解任を強行し、反発したモロ氏が辞任する原因となった。
大統領は翌4日に、連邦警察長官にローランド・デ・ソウザ氏を指名した。ソウザ氏は、推薦者のラマジェム氏が長官を務めていたブラジル情報局(ABIN)で右腕的存在だった人物だ。ソウザ氏は指名後、1時間で連警長官に就任。一連の流れは、大統領がまだ最高裁に強い抵抗を行っていることを示した。