【既報関連】コロナショックが本格化してから初の、中央銀行の通貨政策審議会(Copom)が5、6日に開かれ、経済基本金利(Selic)は年3・75%から3・00%へと、0・75%ポイント(P)引き下げられた。6日付現地サイトが報じている。
史上最低水準の更新となる7会合連続の利下げと、2017年10月以来、約2年7カ月ぶりの大きな下げ幅は、満場一致の決定だった。
中銀は会合後の会見で、次回6月も最大0・75%Pまでの利下げを行うことを示唆し、その後は変更しないとの意向を表明した。だが、状況の変化が激しく、今後の方針を固めるには多くの情報が必要とも語った。
金融市場関係者の多くは下げ幅を0・5%Pと予想していたため、今回の決定は驚きをもって受け止められた。
「中銀は利下げペースを加速した」と見る、サンタンデール銀行マクロ経済研究チーム責任者のマウリシオ・レオン氏も、「我々は、0・5%Pの引き下げを想定して仕事を進めていた」と語っている。
5日には今年3月の工業生産は前月比9・1%減少だったと地理統計院が発表するなど、コロナ禍がブラジル経済に大きなダメージを与えていることが明らかになっている。
投資顧問会社テンデンシアス所属のエコノミスト、アレッサンドラ・リベイロ氏は、「中銀は、ブラジル経済がコロナ禍の影響を強く受け、インフレ目標が達成できなくなることを恐れている」と分析した。今年のインフレ目標は4%±1・5%P(2・5~5・5%)だ。同氏は、「6月の会合でも最大0・75%Pの利下げが行われる可能が語られたが、それ以降の利下げの可能性も残されている」と見ている。
利下げは、景気に勢いをつけるための施策だが、インフレリスクと常に背中合わせだ。
ブラジルは昨年末現在で約4兆2500億レアルの累積債務を抱えていた。コロナ禍に伴う財政出動で、今年は債務がさらに拡大する。
Copomは、「国の財政悪化と、コロナ禍に対処するために政治的資源が割かれることで、政府が目指していた財政改革や税制改革が行えなくなり、インフレリスクが増す可能性がある」と見ている。
利下げは、自国通貨レアルの下落要因でもある。0・75%P利下げ発表の翌日7日の為替はドル高レアル安で推移し、同日午後4時半時点では前日比2・73%ドル高の、1ドル=5・86レアルをつけた。
大幅利下げ翌日の株式市場の動きはそれほど大きくはなく、午後4時半時点のサンパウロ株式市場指数(Ibovespa)は、前日比0・64%安の7万8557・19Pをつけていた。