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《ブラジル》基礎的収支の赤字は1兆2千億レアルに?コロナ対策だけで9千億レアル支出

緊急援助金を受け取るためにロテリカ前で列を成す人々(リオ市、Fernando Frazão/Agência Brasil)

 【既報関連】新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴う経済活動減速を受けた緊急支援などにより、今年のブラジルの基礎的収支赤字額は1兆2千億レアルに達する可能性があると13日付フォーリャ紙が報じた。
 教育調査研究所(Insper)所長のマルコス・リスボア氏らがまとめた「パンデミックに伴う財政的なインパクト」によると、コロナウイルスの感染拡大抑制策に伴う影響を回避するための国民や企業の支援その他の特別支出は9千億レアル超、基礎的収支赤字額は1兆2千億レアルに達する見込みだという。
 この額は、今年度予算に計上された赤字額の約10倍で、予想通りになれば、国債の利子支払い分なども含めた公的負債は国内総生産(GDP)比で100%超となる可能性もある。また、公的負債がパンデミック前の水準(GDP比76%)に戻るには、最低10年はかかる見込みだ。
 今年度予算の基礎的収支赤字額は1150億レアルだが、連邦政府は既に、今年の赤字は7120億レアルに達するとの見解を示している。
 だが、コロナウイルスの感染拡大が収まらず、低所得世帯の非正規労働者などを対象とする緊急援助金の支給期間延長が検討され始めるなど、コロナ禍関連支出はさらに増額する可能性がある。
 コロナ禍に伴う特別支出は、緊急援助金(600レアルを3回)の1500億レアルや解雇回避のための暫定令関連支出1410億レアル、州や市への特別支援600億レアル、地方自治体からの負債返済停止分150億レアルその他で、計4260億レアルと試算されている。これに、経済減速による税収減分1710億レアルと予算上の赤字額を加えた基礎的収支の赤字額は7120億レアルになる。


 さらに、緊急援助金の支給を3カ月延長する場合の支出増と、月給3千レアル以下の労働者への一時帰休措置や時短・減給措置適用期間を延長した場合の補填増額分200億レアルを加えると、赤字額は8860億レアルとなる。最悪のシナリオは、感染拡大が長引いて一時的な措置が全て延長された場合で、この場合の赤字額は1兆2110億レアルに達する。
 一連の数字は今年のGDPを5%のマイナス成長と想定して試算したものだ。リスボア氏らは、来年以降のGDPが3%成長し、国債の利子が年2%に落ちれば、2030年には公的負債がGDP比100%以下になると見ている。だが、GDP成長率がそれ以下の場合や利子が4%で止まったりすれば、公的負債のGDP比率は上昇する可能性さえあるという。