ボルソナロ大統領が連警の捜査に干渉するために連警長官に指名(後に最高裁が却下)したことが疑われているアレシャンドレ・ラマジェム氏が、連警内の人物ではなかったにも関わらず、昨年からリオ連警の人事に介入していた疑惑が浮上した。その他にも、リオの連警関係者の供述に、大統領発言との矛盾があったことが報じられている。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
13日に証言を行った一人は、連警アマゾナス州本部長のアレシャンドレ・サライヴァ氏。同氏によると昨年7月頃、ラマジェム氏から連絡があり、「大統領があなたをリオ州本部長にと希望しているが、興味はあるか」と尋ねてきた。サライヴァ氏はこのときに「はい」と答えたという。
だが、その後、「(大統領府安全保障室傘下の)ブラジル情報局(ABIN)の長のラマジェム氏が、なぜ連警人事で連絡をとってくるのだろう」と不思議に思い、当時の法相のセルジオ・モロ氏に連絡をとり、ラマジェム氏から電話があったことを伝えたという。
サライヴァ氏は、ボルソナロ大統領一家とは特に繋がりはなかった。
連警リオ州本部長だったリカルド・サアジ氏が解任されたのは、この翌月の8月だ。サアジ氏の任期は昨年末までの予定だった。前倒しでの異動通達はマルセロ・ヴァレイショ連警長官(当時)が電話で行ったが、その通達はボルソナロ大統領の希望を受けたモロ法相が了承して行われた。
だが、後任人事は大統領とヴァレイショ氏、モロ氏の意見が割れ、同州本部長職は11月まで空席となった。また、大統領はヴァレイショ氏も解任しようとしたが、モロ氏が「解任するなら法相辞任」と主張し、思いとどまらせた。
サアジ氏は11日にブラジリアの連警で事情聴取を受けているが、同氏は在任中の大統領からの捜査干渉こそ否定したものの、「リオ州の実績は全州で24位と不振だから解任と言われたが、実際は4位。なぜ解任されたのか、本当の理由はわからなかった」と証言している。
結局、リオ州本部長には、サライヴァ氏ではなく、同年はじめにヴァレイショ氏がサアジ氏に同年末に交代と告げていたカルロス・エンリケ・オリヴェイラ氏が就任した。オリヴェイラ氏も13日に事情聴取を受け、大統領長男フラヴィオ氏や同氏元側近のファブリシオ・ケイロス氏が捜査対象になっていたと証言した。
大統領は12日に「自分の家族は誰も捜査対象になどなっていない」と語ったが、実際にはボルソナロ氏の2番目の妻のクリスチーナ氏など、19人がリオ検察局の捜査対象になっている。