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《ブラジル》アマゾンでの不法伐採が蔓延=1日に2110ヘクタールも

不法伐採された森林(26日付G1サイトの記事の一部)

 昨年のブラジル法定アマゾンでの森林伐採面積は1日あたり2110ヘクタールに上るが、その内の99・5%は不法伐採だったとの分析結果が26日に発表された。
 マップ・ビオマスというプロジェクトによる年間伐採報告によると、昨年のブラジルでは、1日平均で3339ヘクタール、1時間当たりでは139ヘクタールの森林が伐採されたという。
 伐採面積が特に多かったのは法定アマゾンとセラードで、法定アマゾンでは2110ヘクタール/日(87・92へクタール/時)、セラードでは1119・6ヘクタール/日(46・65ヘクタール/時)の森林が伐採された。この両者だけでブラジル国内の森林伐採面積の96・7%を占める。
 また、森林伐採の多くは、先住民保護区や環境保護区などの伐採禁止区域内で行われており、不法伐採面積は伐採面積の99・5%に及んでいたという。不法伐採の可能性があるとして監視機関に通報された中でも、先住民保護区は特に被害が大きく、先住民保護区全体の37%に及ぶ森林が伐採された。
 また、短期間に一気に伐採された例は、バイア州ジャボランジで、昨年の5月8~27日の20日間で1148へクタール(1日60ヘクタール)の森林が伐採されたという。
 マップ・ビオマスは、非政府団体や大学、テクノロジー関連企業が協力し、土地の用途や森林伐採の様子などを観察、監視するプロジェクトだ。
 26日に発表された報告書は、政府の公式統計に使う衛星システムProdesと注意深く比較し、検証した後にまとめられた。Prodesの解析能力は地域毎に異なり、セラードなら1ヘクタール以上が伐採されるた時点で、伐採面積としてとらえられるが、マッタ・アトランチカ(大西洋岸森林地帯)では3ヘクタール以上、アマゾンでは6・25ヘクタール以上でないと伐採面積としてとらえられない。これに対し、マップ・ビオマスの機材は0・3ヘクタールでも観測出来るという。


 法定アマゾンでの森林伐採は今年に入ってからも右肩上がりで、国立宇宙研究所(Inpe)によると、第1四半期はこれまでの新記録を更新。Inpeの警告システムがとらえた森林伐採面積は796・08平方キロで、昨年同期の525・63平方キロを51・45%上回った。ここ数年間の第1四半期の法定アマゾンの森林伐採面積は、16年643・83平方キロ、17年233・64平方キロ、18年685・48平方キロとなっている。
 現政権は19年10月の大統領令で不法伐採者に対する罰金徴収を実質的に停止しており、不法伐採に拍車がかかっている。また、環境省が罰金支払いの期限を、公聴会まで無期限延期としたため、罰金を言い渡された不法伐採者も実質的に支払いを無視している。
 リカルド・サレス環境相は、4月22日の閣議のビデオ公開で、コロナウイルス蔓延でメディアの目がそちらに向いているから、環境法の緩和・簡便化をと発言した事が明るみに出、ひんしゅくを買っている。(26日付G1サイト、4月13日付G1サイトより)