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特別寄稿=えっ? この時期に日米訪問=便ドタキャンすり抜け強行=サンパウロ市在住  林 まどか

 ブラジル日本文化福祉協会副会長の林まどかさんが、コロナ外出自粛が始まった3月下旬に一時帰国して郷里・福岡などを訪れ、4月中旬には娘の住む米国ボストンを訪問し、5月上旬に帰伯した。半年前から計画を練り、楽しみにしていた旅行だったので、まさにコロナ騒動の真っ只中だったが強行したという。その間の顛末を、寄稿してくれた(編集部)


 「えっ! え? マアコなの? 今どこ? 本当に日本なの?」――電話口で、大学時代の友人は、驚嘆の声をあげた。
 昨年一緒に恵比須のQ.E.D.クラブで「蛍」を鑑賞し、フランス料理で古希を祝った仲である。日本に着くといつも一番に連絡する。同じスポーツ医学で栄養学のゼミを取った仲間だ。
 その驚嘆ぶりから「そうかなあ~。やっぱりそうかな」と自分の行動に自信がなくなる。この時期に日本に行くなんて、皆そう思うのかな? と思った。
 この訪日の決断は勇気か?無謀か!といえる裏には、大いなる動機が潜んでいる。
(1)6カ月前から、準備していたこと。
(2)どうしても二組の親戚に会いたかったこと。
(3)日本の家の周りの環境を点検したかったこと。
 さんざん考え、同じ時期に、本帰国(永住帰国)された方々の情報もふまえ、飛行機便キャンセルの数度の相次ぐ中、潜り抜ける決断をした。

ガラガラのグアルーリョス国際空港

 「今帰らないと年内には、訪日できないのではないか?」。その気持ちも大きかった。「そうだ。こう決断したからには、絶対コロナにかからないぞ!!! かかれば、まわりが迷惑する!」。決断すると、その思いは余計強くなった。
 せっせと『アマビエ』の姿を写し出し、絵に描いた。この『アマビエ』は熊本県に住む伝説の妖怪で、水木しげるが1984年に、その妖怪の原画を描いた。
 日本に着くとこのグッズが、東急ハンズで売られている。商魂たくましいと驚く。その後、和菓子や、金太郎飴でも生産されている。
 私は、この絵姿を黄色の紙に写し、パスポートの間にしっかり挟んだ。
 神様、仏さま、ひいばあちゃん、ひいじいちゃん、おじいちゃん、おばあさま、お父様、お母様、ありったけの守護神(霊)となりそうな方の名前を、この絵と共に胸にしまい込む。
 こんな時に、いい気なものだ。あまり普段思い出さない人も、自分を保護してくれる方と味方に引き込む。身勝手ですね、人間は。
 こうして3月下旬に、飛行機にのり込もうと向かったグアルーリョス国際空港はガラガラ。カウンターで色々言われ、「うああ~、ここまで来て飛行機に乗り込めないのだろうか?」とラインで旅行社の人に連絡する。
 これは、航空会社の人の単なる技量ミス。第一関門突破。やれやれ。
 こうして、ロンドンに向かう。数日前の日本の民放で、ロンドンから着いた飛行機は、羽田の検疫で、立ったまま5時間待ちとの映像が流れた。
 「どうなるのだろう」と不安に駆られたが、機内は空いていて、独りで4座席使い、すやすや。

「罪人扱い」のような日本での自粛期間

 羽田の人間検疫は、おかげさまで一時間で通過。しかも自己申請で何の問題もなし。その後はPCR検査が義務付けられているとか。(※ここで助言。訪日される方は、人間検疫について調べておいた方が良いですよ。その後の行動、特に自粛期間のあり方や、交通機関その他注意事項の情報の為。03・6847・9312)
 その後の自粛期間(2週間)の長いこと。しかもホテルは、掃除もしてくれないし、シーツ、枕カバ―、タオルや、ゴミは、廊下に出しておく。まるで罪人扱い。毎日体温計で、熱を測り提出。ホテルの接客係のチーフは、気の毒そうに言ってくるが、外国からの客は、要注意みたい。
 日本について驚いたのは、結構みんなのんびりムード。レストランも、それこそパチンコ店も開いており、サンパウロの緊急事態宣言の街中を知っているので、「?」といった感じ。
 着いて、一週間目。数週間後の帰伯便をチェックすると、「その便飛びません。4月中旬から、末まで飛びません」といわれ慌てて、ふりかえ便を、依頼する。
 今回つくづく感じたのは、日本の航空会社の対応が優秀で、24時間体制で電話に応じてくれて、非常に助かる(羽田空港03・5757・8111)

 日本では唯一訪問したかった場所があった。産土神の総社、高倉神社である。
 私が生まれた町の百メール程の距離に、産土神の神社、岡湊神社(福岡県遠賀郡)がある。万葉時代からの神社で「なんじゃもんじゃ」の木で有名。よって格の高い神社と思っていた。だが、ある神様に詳しい人が、それは末社だという。
 この高倉神社は、この近辺では、非常に格が高いという。福岡県遠賀郡岡垣町大字高倉にある。後で、写真で提供するが、参拝して驚いた。確かに鎮守の森に囲まれ、深山幽谷の中にあり、木立からもその威厳が感じられる。人に知られていないので、参拝客も誰もいない。今回の訪日で、唯一慰撫され、浄霊の場所となった。
 こうして、東京は怖いので、田舎にこもり、次の親戚のいるアメリカに飛ぶ。

米国に向かう機内、乗客15人のみ

 アメリカでも入国が厳しいと、成田国際空港でさんざん言われた。
 しかし一番驚いたのは、あの成田に人がほとんどいない…。土産物屋さんが一店舗も開いていなく、夕食を食べるにも苦労する。わずかに2店のみ開いていた。それも16時には、閉まりますとのこと。そういうこともあり、機内は、わずか15人ほどの乗客。これでは、休航したくなりますよね。
 アメリカでは、とても心配していたが、何の検査もなく入国。ほっとする。

米国フレミンハム市のクッシング公園。この地は、第2次世界大戦のとき、兵士のための野戦病院が出来たところ。大木に孫2人が遊ぶ

 その後、ボストン近郊で、孫の日本語の家庭教師やピアノの先生をして過ごす。
 梨の木、ミモザの木が満開で、まだ桜も咲いていた。アメリカの家は、隣りとの間に庭があって距離が離れている。ほとんど「三密」(密閉、密集。密接)状態にはならない。
 しかしニューヨーク市などの密集地帯は感染者が多く、昨日のニューヨークタイムスでは10万人の死亡者に、紙上で哀悼の意を表したという。
 幸いに今回、日本でも、アメリカでも、近くに感染は居なかった。
 ところが、どうだろう。ブラジルに帰ると身近に感染者の話を聞く。

オーウエルの『1984』を携行

 さて今回の旅行に「何の本を携行するか?」で、迷わずジョージ・オーウエルの『1984』を選んだ。村上春樹のではなく、高橋和久訳を所持する。
 この本は、アメリカンスクールでは、高校生の必須履修項目で、原語で読まされる。ところが、第一章はかろうじて読み終えたが、気分が悪くなり先に進まない。ユーチューブで、ある読書会の評釈を聞いて読んだ(?)ことにした。全章の朗読版もあるが、どうも細かいディティール(詳細)は知りたくない。
 社会主義国家、共産主義国家、管理社会への、近未来の予測。1948年にかかれたこの本は、恐ろしいほど、現代のC国に似ている。チベット問題、ウイグル自治区、香港の問題は、胸が痛くなる。スターリンやトロッキーに似た人物が出てくる。
 主人公の歴史を改ざんする役職というのも、考えさせられる。冒頭の〈2分間の憎悪〉という儀式は、寒気がする。ジョージ・オーエルの父親は、インド・ベンガル地方の英国阿片局の官吏だったという。このような、生い立ちも、この本を書かせるようなきっかけになったのだろうか?
 さて、もう一冊。これは日本で買った本。最近、作者の浜田マハさんのが面白くて何冊も読んだ。『ダグダラ屋のマリア』を読んで、なあに?聖書の原罪?などと勝手に思い込み、熱烈な愛に、舞台の地名の「尽果」(さいはて)はどこだろう? 鳥取?などかと考えた。
 今回のお薦め本は、『楽園のカンヴァス』。最初の数頁から引き込まれ、ぐいぐいとサスペンスのような感じの、謎解きの美術評論小説。舞台は岡山、倉敷の大原美術館から始まり、スイス、バーゼルへと移る。
 ピカソと同年代のアンリ・ルソーは、マイナーな画家だと思っていたが、偉大なのだ。私には分からないが、終章が特に感動的。気持ちが洗われ、「絵画とは何か」を考えさせられる、心温まる懐想、風雅な話。

5月初旬、前倒しして祝ってくれた母の日で下の孫と

第3次世界大戦勃発か、ただの風邪か

 さて今回の「コロナ騒動」。新型コロナウイルス、武漢ウイルス、マスコミウイルスといわれるこのパンデミックは、なんなのか?
 この未曽有の事件に、誰も先がみえない。第3次世界大戦が勃発しているという人もいる。このコロナ騒ぎで、裏では、各国騒然として、軍事行動をはじめている国もあるとの憶測も流れる。
 特に、日本の場合は、隣国との国境が近接している。よって防衛力の強化。国内生産体制の強化(日本企業の国内回帰)、食料やエネルギーの自給率を高める等が焦点となる。
 かたやスピリチュアルな、動画も流れ、人類の新しい生き方、世界を模索する。
 先に提示したような、『1984年』の世界が来て、言論統制、管理社会、恐怖政治、武力による弾圧等が起こり、人々が、自由に考え行動することの出来ない世界が、来るようなことは絶対避けたい。
 しかしこの騒ぎ、自粛期間中に、自分への内省、内観を通し、色々と熟考できる機会があったことは、良いことことかもしれない。
 このように言う人もいる。「コロナは、普通の風邪。最初の3日間が大切。熱が出たら解熱剤など飲まない。薬で熱をさげないで、食料は少量の摂取にとどめて、横になると良い」—と。
 毎年のインフルエンザの感染率、死亡率に比べると、という意味らしい。今、日本では、アビガンや、レムデシビルの効果が期待されているが、高いエビデンス〔医学的証拠〕は、期待できないという人もいる。
 「Fact Fulness」(フェクトフルネス〉思い込みや記憶の刷り込みでなく、データをもとに世界を正しく見る習慣。真実を見つめて行動する。今後、これが大切なことだと思う。自分の思考能力を研ぎ澄まし、きちんと判断しよう。
 さて最後に、「コロナ除けの11の心得」を記し、結びとしたい。
(1)糖質の過剰摂取をひかえる。
(2)腸内環境を整える。プロテイン。青汁、梅干し、しょうが、リンゴなど。
(3)ビタミンCを大量摂取、一日に3g以上。
(4)早起き、早寝をして太陽を浴びる。カーテンを開ける。
(5)粘膜を乾燥させない。マスク、加湿。
(6)タバコ、アルコールをひかえる。
(7)手洗いをマメにする。
(8)石けんで手を洗った後、保湿にワセリンを使う。
(9)自分を消毒しない。「常在菌」を大事に。スマホなどは消毒。
(10)適度に運動。30分ワーキング、自分を追い込むトレーニングはしない。
(11)ストレスをため込まない。
―などに気をつけて、日ごろから予防対策を。