「ああ、ついに起こってしまったか」。27日、ボルソナロ大統領を熱烈に支持していることで知られる政治家や活動家、企業家を対象にした連警捜査が行われたと聞いたとき、コラム子は即座に思った。
コラム子にとって印象的だったのは、フェイスブックの新聞や雑誌、ニュースサイトの読者の反応がかなりこの捜査に好反応を示したことだ。伝統的なメディアの場合、ボルソナロ氏に不利な記事の方が最近は反応が良いのだが、その中でもかなりのものだった。
なぜか。ひとつは、「ボウソナリスタ」と呼ばれる支持者たちが煽る、冷笑的かつ暴力的な言動を、ネットユーザーたちは普段からあまりに頻繁に耳にするために、非ネットユーザーより不満を溜めやすかった事情がある。
そして、もうひとつは、今回の件も含め、このところのボルソナロ氏の対立図式が、これまで想像されがちだった「対左派」ではなく、むしろボルソナロ氏が台頭してくる前にいたタイプの「旧右派」との対決図式が強まっているためだ。
ボルソナロ氏にとって左派は、どんなときでも常に自分を批判してくる存在だ。同氏といえば「反労働者党(PT)」のイメージが強い。だが、PTはたしかに常にボルソナロ氏の批判はしつつも、実際に同氏に関しての訴えを最高裁に行っているのはシロ・ゴメス氏の民主労働党(PDT)や急進左派の社会主義自由党(PSOL)の方が目立っている。ただ、彼らが訴えるだけでは、反ボルソナロ運動はそこまで盛り上がらない。
最近、大統領への風当たりを強めているのは、PSDB(民主社会党)やDEM(民主党)といった「旧型右派」で、彼らがボルソナロ氏と対立することが増えている。
PSDBといえば、コロナ対策で真っ向から対立したジョアン・ドリア=サンパウロ州知事、そして、かねてから同党に立場的に近かったセルジオ・モロ前法相の存在があげられる。大統領とこの2人の対立はここ数カ月、連日メディアを賑わせている。だが今回、フェイクニュースの捜査を了承した最高裁のアレシャンドレ・デ・モラエス判事も、元はといえばPSDBに籍を置いていた、テメル政権時代の法相だ。モラエス氏の場合、以前からモロ氏へのシンパシーを見せる場面も多く、今回の決定にも心理的に影響を及ぼしているかもしれない。
加えてDEMも、ロドリゴ・マイア下院議長やダヴィ・アルコルンブレ上院議長と大統領との対立はかねてから報じられており、人気のあったルイス・エンリケ・マンデッタ氏(DEM)の保健相解任でさらに溝が深まっている。
加えて、キム・カタギリ氏をはじめ、同党への入党者が多かった政治団体「ブラジル自由運動」も、今となっては痛烈な反ボルソナロの論客となり、罷免嘆願書まで提出する状態に至っている。
これに加え、ボルソナロ氏が11月まで所属した社会自由党(PSL)も、途中で仲違いしたことで、大統領次男カルロス氏率いる「嫌悪舞台」からのフェイクニュース攻撃の矢面に立たされた。同党のアレシャンドレ・フロッタ下議、ジョイセ・ハッセルマン下議、デレガード・ヴァウジール下議、マジョール・オリンピオ上議などは、今や対立派だ。
フロッタ氏は既にPSDBに移籍済みだが、現在はまだPSLに籍を置いている全体の半分ほどの議員がボルソナロ氏の新党に移籍した後は、PSL自体もPSDBやDEMとの結びつきを強めるのではないかと言われている。
この他、新しい右派政党であるポデモスやノーヴォも、党首がボルソナロ氏をかなり嫌っているため、連合は考えにくい。大統領が現在、自身の当初のモットーと矛盾がありながらも、中道勢力「セントロン」に接近せざるを得ないのも、ある意味、仕方がないか。(陽)
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