新型コロナウイルスの感染が拡大し、ブラジリアのある連邦直轄区(DF)の刑務所では1千人近い感染者が出、職員用のホテルを調達する事態が起きている。
DFの刑務所管理局と保健局によると、21日現在のコロナ感染者は、収容者590人と刑務所職員(警官)211人の801人だ。職員の感染者は27日現在で230人に増えており、収容者の間の感染も止まっていない。
また、コロナ感染症により、17日には45歳の刑務所職員、19日には32歳の収容者が死亡している。
先の801人は連邦直轄区立の刑務所の関係者で、連邦刑務所でも、21日現在で収容者が1人感染している。連邦刑務所の感染者は、18日にペルナンブコ州から送られてきたばかりだ。
DFの刑務所管理局によると、21日現在の集計ではコロナウイルスに感染した職員の内、119人は既に回復して現場に復帰しているが、4人はまだ入院加療中だという。感染した職員の大半は軽症で、自宅隔離の対象となった。刑務所は密閉空間の上、密集、密接が起こる可能性が高い場所の一つだ。
DFの刑務所管理局では、所内での集団感染を防ぐため、刑務所職員を感染症専門医とのビデオ会議に参加させ、予防対策や感染の有無の見極め方、感染拡大を抑制する方法などについて学ばせている。
また、コロナに感染した職員が家族に感染を広げるのを避けるため、観光局とも協力し、27日までにホテルの部屋を360人分確保。ホテルの予約はとりあえず30日間の予定だが、ホテルの利用がいつ始まるかは公表されていない。
DFの刑務所には、全国の刑務所でのコロナ感染者の70%が集中しているという。
DFでは、女性収容者に作らせたマスク2万点を保健局と刑務所管理局に分配した他、刑務所内や管理施設、警察車両などの消毒を徹底。外部から寄贈された洗浄可能なマスクの配布、パプーダ総合刑務所での簡易検査実施(ドライブスルー形式)、裁判前の犯罪者収容のために新築された施設2棟(各棟200人収容)を感染した収容者用の隔離施設として利用するなどの対策も準備・実施中だ。
DFでは、コロナ感染者に対応している医療部門の公務員のホテル宿泊を22日から開始。刑務所職員は、公務員向けの特別措置第2弾の対象となっている。(22、28日付G1サイトより)