リオ市の写真家達が、コロナウイルスの蔓延で苦しむファヴェーラ(スラム街)の人達を支援する資金作りのため、自分達が撮影した写真をオンラインで競売にかけた。
写真の競売を計画したのは、「ファヴェラグラフィア」と呼ばれるプロジェクトに参加する9人の若手写真家達だ。スラム街では新型コロナウイルスの感染拡大で仕事に出れなくなった人や失業した人が多く、スラムで写真を撮り続ける写真家達は、住民の痛みや苦しみを肌で感じている。
競売が行われたのは5月28日夜で、競売で得た資金は、スラム街に住む人々に配る基礎食料品セットの購入費に充てられる。
ファヴェラグラフィアは2016年に立ち上げられたプロジェクトで、リオ市内にある九つのスラム街の日常を写真で記録。スラム街は暴力だけが支配している場所ではない事を国内外に示してきた。
国際的にも知られた写真の一つは、米国の歌手スヌープ・ドッグのインスタグラムに掲載された、「トゥラノの丘」と呼ばれるスラム街で音楽活動を行っている青年達が、武器の代わりに楽器を持って写ったものだ。 音楽グループの写真や民家の窓から顔を出した2匹の犬など、スラム街での日常を写した写真の数々は、リオ市の現代美術館で2度、サンパウロ市のトミエ・オオタケ研究所で1度、展示された事がある。
リオ市北部のボレルの丘に住み、このプロジェクトに参加する写真家のアンデルソン・ヴァレンチン氏は、オンラインでの写真競売は以前も1度行われており、良い結果を得たため、コロナ禍で苦しむ人達を助けるために、再度行う事を決めたという。
写真家達は、スラム街に住みながら、公的な支援を受けて居ない家族、3千世帯を助けるための募金活動も行っている。(5月28日付G1サイトより)