私たちの住むリオ・グランデ・ド・スール州は、他の州と比べるとコロナウイルスの感染拡大は全国の州の中で18番目と、低い水準を保っています。それでも様々な感染防止手段の導入とともにニッケイ社会も警戒態勢が取り入れられています。
私たちの日系社会には数多くの日系人一世をはじめとする高齢者がおり、援協の会員もほとんどはコロナウイルス感染でのハイリスク世代です。そのため、州による外出規制が始まって以来、事務所をはじめ援協で行われていた様々な活動(運動会、太鼓や囲碁のグループ、高齢者のためのワークショップ、手芸の会、婦人会の集まり、昼食会など)は全て中止となり、各自それぞれ自宅で外出規制を守り感染防止に努めています。
また州で最大の文化行事で毎年8月に行なわれるRS州日本祭りも今年は中止、来年に持ち越しとなりました。日本語学校や日本語講座も全て中止またはオンライン授業を余儀なくされ、また、若い世代に日本文化について広く学んでもらうための竹の子プロジェクトも開始できずにおり、これらの様々な活動はいつ再開できるかの目途もまだ立っていません。
教えるほうも教わるほうも新しい日常に何とか適応し、今まで培ってきた日本文化や人々との交流を失ってしまわないよう、模索しているのが現状です。
活動は止まっていても出費は全くなくなるわけではなく、職員の給料や必要最低限の経費の確保も深刻な問題となっています。そんな中で例えば日本語学校は恒例のバザーを兼ねた昼食会の代わりに、焼きそばの宅配により資金集めを行ったりと、現状下で可能な手段を適応させ、奮闘しています。
毎年6月から9月にかけ週末や冬休み期間を利用して各コロニアを回り日系の高齢者の健康管理を行なう巡回診療も、今年は10月以降に延期となり、年に一回の日本語による診察を心待ちにしている方々に不安の影を落としています。このコロナウイルスの感染拡大は本当に様々な形で皆に困難な状況を作り出しています。
しかし今のところ、唯一できることは我慢、そして皆で一致して正しい感染予防対策を遵守し、一日も早く感染がおさまるように努力することです。皆が各自気を付ければ、死者を出すことなくコロナウイルスの感染拡大から逃れることができるはずです。
私たちの州が感染をうまく抑えられているのは、州政府が独自に外出禁止令を早期に打ち立て、マスクの使用や社会的距離の確保の徹底、商業施設への規制など、常に状況を把握しながら指針を出し、州内の市町村とも連携して対策を講じてきたからだと確信しています。
様々な病院がコロナウイルス感染患者受け入れ体制を整えていますが、もし理想的と言われている人口の80%の感染が本当に起こったとしたら、とても対応できるものではなく、たちまち医療崩壊に陥ってしまうでしょう。
日本は感染が大変低いレベルで抑えられていて、世界のコロナ対策の模範の一つともいえます。それはひとえに政府の対応もさることながら、日本国民の一人ひとりが協力し貢献した賜物だといえると思います。
人間社会はこれまでにも様々な疫病にさいなまされてきましたが、感染を防ぐためになすべきことは何か、どんな指示を守ればいいのかが分かってきている今、私たち人間の感染克服への可能性を信じるときです。
ただいたずらに怖がるのではなく、きっと良くなるという希望をもって毎日過ごしていきましょう。