16日午前、「反民主主義的行為」に関する捜査が全国的に行われ、ボルソナロ大統領の新党「ブラジル同盟」関係者や、フェイクニュース(FN)捜査でも対象となった極右ブロガーのアラン・ドス・サントス氏、数々の問題行為でも知られてきたダニエル・シルヴェイラ下議(社会自由党・PSL)といった大統領支持派が多数、捜査対象となった。16日付現地サイトが報じている。
今回の捜査は、連邦議会や連邦最高裁などに対して威嚇や脅迫などの違憲行為を行った人物に対して行われたもの。捜査要請は連邦検察庁が出し、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が捜査許可と令状を出した。5月27日に行われたFN捜査の許可も彼が出していた。
今回は21人に対する家宅捜索令状が26件出された。捜査対象は、ブラジリア、サンパウロ州、リオ州、マラニョン州、ミナス・ジェライス州、サンタカタリーナ州にまで及んでいる。
今回の捜査の中心となった人物は、ルイス・フェリペ・ベルモンテ氏、セルジオ・リマ氏、ダニエル・シルヴェイラ氏、アラン・ドス・サントス氏だ。検察庁特捜部によると、捜査対象者は全員、インターネットやSNSを使って、反民主主義的なメッセージを流していたという。
ベルモンテ氏とリマ氏は「ブラジル同盟」の関係者で、前者は同党の第2副党首で主要出資者、リマ氏は同党所属の広告業者だ。彼らは3月から行われてきた反連邦議会・最高裁の首謀者と見られている。
シルヴェイラ氏は2018年の統一選の際、同年3月に殺害されたマリエレ・フランコ元リオ市議を記念するために同氏の名前が付けられた道路名のプレートを演説中に割った人物。他にも、リオ州内の学校に侵入して授業の様子を録画したほか、PSL元下院リーダー、デレガード・ヴァウジール氏への盗聴疑惑、反ファシズム・デモ参加者への威嚇行為といった問題行為も起こしている。
アラン氏は極右サイト「テルサ・リーヴリ」の主宰者で、上下両院合同のFN調査委員会でも虚報拡散の中心人物と目されている。同氏はFN捜査でも捜査対象となっており、大統領三男エドゥアルド氏との蜜月ぶりでも知られている。
この他にも、FN捜査でも対象となった、ブラジル同盟出資者で不動産投資家のオタヴィオ・ファコウリ氏や、ラヴォックス・ブラジル氏、アルベルト・シウヴァ氏、カミラ・アブド氏といった3人のユーチューバーの自宅なども捜査対象となった。
FN捜査は今後も継続して行われるかが最高裁で審理されている最中。15日のサラ・ウインター容疑者の逮捕に続き、連邦議会や最高裁への威嚇行為を繰り返す、大統領支持者へのけん制が強まった形となった。
ボルソナロ大統領は、今回の捜査で自身の近親者が捜査対象となったことに強い不満を表明し、現政権への干渉行為との見方まで示している。