ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》コロナ感染者103万人超に=保健省のシステムでまた障害=北東部や内陸部では医療崩壊?

《ブラジル》コロナ感染者103万人超に=保健省のシステムでまた障害=北東部や内陸部では医療崩壊?

18日の保健省の定例記者会見(Anderson Riedel/PR)

 【既報関連】19日夜の保健省発表では、新型コロナ感染者は5万4771人増(計103万2913人)となり、一気に100万人の大台を越えた。死者数は1206人増(計4万8954人) で、翌20日にも5万人を突破する勢いを見せている。
 そんな中、新型コロナウイルスの感染拡大抑制には、検査拡大などによる実態把握が不可欠だが、保健省の登録システムには問題が起きていると報じられている。正しい数字が集計されなくなっているが、同省は「システムが不安定になっただけ」だから登録し直すよう指示したと18、19日付現地紙、サイトが報じた。
 保健省の問題は、システムが不安定になり、軽症の患者数を登録出来なかったため、サイトで公表する公式統計の数字に州保健局が報告した数字が正しく反映されないというもの。この問題はサンパウロ州が18日に行った定例会見で明らかにした。
 18日夜の保健省発表による感染者数は2万2765人増の97万8142人、死者数は1238人増の4万7748人。サンパウロ州の感染者数は1111人増の19万2628人、死者数は325人増の1万1846人となっている。

聖州内部での入院患者増加について報じた18日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 最近のサンパウロ州の感染者数は平均で1日5~6千人増えていたが、保健省のシステムで問題が生じた2日間は1232人と1111人で、平均を大幅に下回る。州保健局は、保健省のシステムが正常化した段階で漏れた数字を加算する意向だ。
 だが、サンパウロ州が5月に6月から社会隔離を段階的に緩和すると発表した事などを受け、サンパウロ市での直近7日間の平均感染者数は14日以降、増加傾向にある。9~13日の直近7日間の平均増加数は1940~2023人だが、16日までの平均は2807人に増えた。
 サンパウロ市は人口が多く、感染者数増加はサンパウロ大都市圏やサンパウロ州の総数にも影響を及ぼす。サンパウロ州の死者が16、17日に新記録を更新した事や16日の感染者数が8825人増えた事は、隔離緩和前に感染した人が増えていた事を示している。同州の隔離率は、段階的な隔離緩和開始と公表された頃から落ちていた。

 感染者増で隔離基準が厳重化された州内陸部では軒並み、集中治療室(ICU)占有率が上昇中だ。一部の市はICUが満杯となり、サンパウロ市に患者を送り始めた。18日の同州のICU占有率は70・6%だが、カンピーナス、リベイロン・プレット、サンジョゼ・ドリオ・プレット、ソロカバなどは平均以上だ。
 隔離率低下に伴う感染者数増加は他州でも起きており、ICUが満杯で、救急車さえ動けないという州もある。
 端的な例はリオ・グランデ・ド・ノルテ州ナタル市で、18日現在のICU入院患者は200人を超え、83人が空き待ちだ。入院患者数は1カ月前の倍以上で、ICUや救急外来が一杯で、重症患者を運んできた救急車が病院の前で5時間待たされた例もある。
 マット・グロッソ州も感染者が2週間で2・5倍に増え、16日現在のICUの空きは56しかない。地方医師協議会は州や市が隔離緩和を急ぎ過ぎたと見ている。
 元々の医療システムが脆弱なロライマ州は、100万人あたりの感染者が全国5位の1万2251人で、感染者や死者の増加率が落ちたアマゾナス州マナウス市に患者を送っている。