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《サンパウロ州》コロナ禍=より脆弱な人への検査を拡大=今回の対象は23万人余り

新たな集団検査に関する計画などが発表されたサンパウロ州の定例会見(19日、Governo do Estado de São Paulo)

 サンパウロ州政府が19日、新型コロナウイルスの感染拡大抑制策の一環として、より脆弱な人達を対象に、コロナウイルスへの抗体の有無を調べる検査を実施すると発表した。
 実施予定検査数は23万3700件で、先住民や黒人集落住民、都市周辺部にある貧困者のコミュニティ、高齢者向け施設の収容者、必需サービスに携わっている公務員、刑務所職員を対象として行われる。
 検査の統括者はブタンタン研究所で、州保健局などの関連部局、66の技術系大学や220の技術系専門校(高校扱い、通称ETEC)を統括するセントロ・パウラ・ソウザが協力する。
 ブタンタン研究所のジマス・コーヴァス理事によると、パンデミックは都市周辺部に拡大しているが、都市周辺部は保健行政の手が届き難く、感染がさらに拡大する可能性が強い。また、先住民や高齢者は、コロナウイルス感染症に罹ると重症化する可能性が強い。
 州政府が使用するのはIgM/IgGと呼ばれるタイプの抗体検査だ。この検査は、抗体の有無を調べる事で、既にウイルスに感染した事があるかを確認するものだ。現在症状が出ている人や、コロナ感染が確認された人と接触したという人に対しては、ウイルスそのものの有無を調べるPCR検査が適している。

 州政府による一斉検査は5月に始まり、サンパウロ市の治安関係者が最初の対象となった。その後も、少年院の職員やソロカバ地方の刑務所収容者への検査や、リベイロン・プレット市クリニカス病院の職員、サンパウロ市の救急隊員、内陸部の警察官を対象とした検査も行われている。
 先住民への検査はグアルーリョス市フィーリョス・デッサ・テラ集落から始められており、フランシスコ・モラット市では、高齢者収容施設18カ所での検査が始まった。
 都市周辺部のコミュニティでの検査は、これまでに4人の死者が出ている、サンパウロ市西部リオ・ペケーノ区サンレモ地区から始まる。
 サンパウロ市で行われた、治安関係者とその家族7万1300人を対象とした検査では、18%の人が抗体を持っている事が確認された。治安関係者は、医療従事者に並び、感染の可能性が強いグループだ。
 ただし、州内陸部で働く警察官を対象とした検査の場合は、まだ感染が拡大する最中であるためか、抗体を持っている人は5%に止まっている。(19日付アジェンシア・ブラジルより)