《ブラジル》国際投資家の間で増す懸念=低金利で旨み減り政治も混乱
新型コロナウイルスの感染拡大は世界規模の景気後退(リセッション)を招く事が必至だが、国際投資家の間で投資対象としてのブラジルへの懸念が増していると20日付現地紙が報じた。
昨年、年金改革こそ実現したものの、今年予定されていた税制改革や行政改革は手つかずのまま。しかも、新型コロナの感染拡大で経済活動が低下した上、感染拡大が終息する気配をみせない。経済基本金利(Selic)は昨年7月から下降を続けており、低金利になるほど資本流出が顕著になり、その結果としてドル高レアル安に拍車がかかった。その中で、コロナ禍対策もあって今月Selicはついに年2・25%まで下がった。
ブラジルは元来、国際投資家の間では、ハイリスク・ハイリターンの国として見られていた。ところが、インフレ率を差し引くと実質金利はマイナスという現在の状況では、ハイリスクをおかすだけの旨味はない。
懸念をさらに大きくするのは、政界での混乱やその影響の広がりだ。国際金融機関や諸外国の銀行などは、新型コロナの感染拡大がブラジルの政治や経済活動に与えた影響を深刻に受け止め、ただでさえハイリスクのブラジルを、もう一段、危険性の高い国にランクする傾向を見せている。
ワシントンにあり、約450の世界的な大手銀行が集まる国際金融協会(IIF)によると、新興国の株式市場では新型コロナの世界的流行で1千億ドル近い損失が出ているが、ブラジルは損失がより大きな国の一つだったという。
ブラジルが世界経済に対して持っていた影響力を示す数字の一つは、国際的なファンドへの参加率だが、世界的な参加率は2010年の1・97%が0・20%に低下。新興国内での参加率も15・92%が5・23%に低下している。
最も低下が激しいのは、BRICS諸国のファンドへの参加率で、34・97%が8・77%に低下した。各々の場面での参加率は、景気後退が長引いた2015年にも、0・52%、6・03%、12・60%と大幅な低下を記録していたが、現在の参加率はその時期よりもさらに低下している。