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《ブラジル》教育相肩書のまま渡米?「逮捕逃れ」なら外交問題も

ウェイントラウビ氏(Marcelo Camargo/Agencia Brasil)

 18日に教育相退任を告げるビデオを公開したはずのアブラアン・ウェイントラウビ氏が、教育相の肩書のまま逃げるように米国に渡航したと、20〜23日付現地サイトなどが報じている。ウェイントラウビウ氏は逮捕される可能性があったため、連邦政府が退任を発表したのは渡航後という点が問題となっている。
 ウェイントラウビ氏は19日夜にブラジルを発ち、20日、米国のマイアミに到着した。現在も同国に滞在中だが、この行為が物議を醸している。逮捕される可能性があり、今回の渡航はそれを逃れるための政府ぐるみの画策と見なす向きが少なくないためだ。同氏は、4月22日の閣議で放った「最高裁判事は全員逮捕されるべき」をはじめとした数々の暴言で知られており、フェイクニュース捜査の対象に含まれることも決まっていた。
 教育相解任後のポストとして世界銀行の役員職が用意されたことも、「逮捕逃れの対策では」と囁かれていた。政界では同氏の出国前から「パスポートを没収するべきだ」との声が実際にあがっていた。
 ウェイントラウビ氏自身も22日朝、自身のSNSで「多くの人の力でブラジルを出国することができた」という、意味深なメッセージを米国から出している。

 連邦政府官報もこの疑惑に拍車をかけている。それは、同氏が退任を発表したのは18日だったにもかかわらず、19日の官報にはそれが公示されず、同氏がブラジルを出て、米国に到着した後の20日に退任が公示されたためだ。
 現在、米国はブラジルからの一般人の入国を認めておらず、クアレンテナ(隔離検疫)も必要とされている。渡航するとしたら連邦政府の専用機を利用、または外交官などに支給される外交旅券で入国ということになる。不当に大臣特権を活かして渡航した場合、最悪、追放の可能性もあるという。
 23日付連邦官報は、ウエイントラウビ氏退任の日付を19日に訂正しており、米国入国時には教育相の肩書はなかったことになったため、外交上の問題ともなり得る。検察は既に、外務省の関与なども含めた捜査をはじめている。
 世界銀行の役職を得るためには加盟国8カ国以上の承認が必要だが、世銀内部では、ウェイントラウビ氏の承認拒否を呼びかける動きも起こっているという。