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《ブラジル》基礎的収支=5月赤字が昨年分を上回る=年間ならGDP比9・5%増か

マンスエト国庫担当局長(Fabio Rodriguez Pozzebom/Agencia Brasil)

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の落ち込みや緊急援助金の支払いなどが重なり、連邦政府の5月の基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字は、昨年1年間の赤字額を上回る1266億レアルに達したと29、30日付現地紙、サイトが報じた。
 連邦政府の基礎的財政収支は国庫と中銀、国立社会保障院(INSS)関連の収支を統括したもので、5月の赤字額は1266億900万レアルと発表された。
 基礎的財政収支が単月でこれほどの赤字を計上したのは、1997年の統計開始以来、初めて。5月の赤字額は、過去最大だった4月の929億200万レアルを上回っただけでなく、昨年の年間の赤字額950億レアルをも超えた。
 連邦政府の経済スタッフは、非正規雇用者や失業者などに払っている緊急援助金の支払い期間が延長されれば、今年の基礎的財政収支の赤字額は8千億レアルを超えると予想している。
 基礎的財政収支の赤字拡大は、歳入減少と歳出増加の双方が原因だ。
 新型コロナウイルスの感染拡大抑制策として導入された社会隔離策は、経済活動の縮小と税収減をもたらした。税収減は連邦、州、市の各レベルで起きており、5月の場合、連邦レベルの税収は昨年同月比で36・9%落ち込んだ。

 INSSなどの積立金納入期限を延長した事も歳入減少を招いた要因で、今後の納入額がどれ位回復するかも注目されている。
 財政支出は増加が著しく、コロナ対策としての所得維持関連経費や保健衛生部門への支出増(534億レアル)なども加えた支出額は、昨年同月比で68%増えている。
 アウスチン・レイティング社チーフエコノミストのアレックス・アゴスチニ氏は、6月の赤字額を抑えるために前倒し支出したものがあり、5月が赤字の頂点と見ているが、それでも、今後6カ月間は月平均620億レアルの赤字を計上し続けると予測している。
 1~5月の累積赤字は2224億6800万レアルで、こちらも年頭の5カ月間としては過去最大額となった。同期間中の歳入は昨年同期比で14・2%減り、歳出は20・8%増えている。
 経済省国庫担当局長のマンスエト・アウメイダ氏によると、6月29日現在の年間赤字予想額は国内総生産(GDP)の9・5%にあたる6760億レアルだが、緊急援助金の支払い延長などで経費が増えれば、この割合が11・5%まで増える可能性があるという。