リオ市で6月30日朝、州検察局と市警合同による捜査が行われ、「犯罪オフィス(エスクリトリオ・ド・クリーミ)」と呼ばれる暗殺請負集団が逮捕された。このグループは、リオ市のミリシア(私兵組織)の大物でボルソナロ大統領長男フラヴィオ上議とも親交が深かったアドリアーノ・ノブレガ氏がリーダーを務めていた集団。彼は今年2月に捜査中に警察に殺害された。今回の捜査では、マリエレ・フランコ元リオ市議殺害事件との関連も注目されている。6月30日付伯字サイトが報じている。
ギリシア神話の死神の名から付けられた「タナトス作戦」は、リオ市を仕切る大物ミリシアのひとつと目されているグループ「犯罪オフィス」に対する捜査だ。同グループは10年以上も前から、100万~150万レアルで暗殺を請け負っていたことで知られ、すでに2年前から捜査がはじまっていた。今回の捜査にも複数の事件が含まれている。
このグループが行った可能性がある事件には、2018年3月に起こったマリエレ・フランコ元リオ市議とその運転手アンデルソン・ゴメス氏殺害事件も含まれている。この事件の殺害実行犯らは19年3月に逮捕されていたものの、命令した犯人はまだ判明していない。
もう1件注目されているのが、マルセロ・ディオッティ氏殺害事件だ。同氏はマリエレ氏が殺害されたのと同じ18年3月14日に、リオ西部のバラ・ダ・チジュッカのレストランの駐車場で銃殺された。同氏の夫人は、元リオ市議でミリシアのリーダーと目されているクリスチアーノ・ジロン氏の元妻だった。
今回の捜査では4人の容疑者への逮捕令状と20件の家宅捜索令状が出された。その結果、リーダー格のレアンドロ・ゴウヴェイア・ダ・シウヴァ(通称トニョン)、レオナルド・ゴウヴェイア・ダ・シウヴァ(通称マッド、またはパライバ)の兄弟が逮捕された。残る2人は、アンデルソン・デ・ソウザ・オリヴェイラ(通称ムゴン)、ジョアン・ルイス・ダ・シウヴァ(通称ガゴ)の両容疑者だ。
今回の捜査は、マリエレ事件で早くから関与が疑われ、逮捕もされているミリシアのオルランド・デ・アラウージョ(通称オルランド・クリシカ)容疑者が行った証言に基づいて行われている。
「犯罪オフィス」は、今年2月に、逃亡先のバイア州でバイア州連警とリオ州の特別部隊に殺害されたアドリアーノ・ノブレガ氏が率いていたグループ。アドリアーノ氏は、先月18日に逮捕されたファブリシオ・ケイロス氏同様、母親と妻がフラヴィオ・ボルソナロ上議の幽霊職員を務めていたことで知られている。昨年12月には、逃走中だったアドリアーノ氏の弁護士の件をめぐってケイロス氏夫妻が話し合いを調整するなどして逃走を助けた疑いが持たれるなど、家族ぐるみの深い関係があったと見られている。