昨年7月6日に死去したジョアン・ジルベルトの評伝が、34出版社( Editora 34)からズザ・ホメム・デ・メロ氏の執筆により出版される予定だとエスタード紙6日付が報じている。
2001年、同氏により編纂された著書「ジョアン・ジルベルト」(パブリフォーリャ出版社刊)は、ジョアン氏の生涯や、作曲家としての音楽やギターに対する姿勢に迫った内容だとして非常に高い評価を得て完売した。
ズザ氏は2018年頃、再びジョアンの評伝に取り組みたいと思いつき、34出版社の経営者パウロ・マルタと話して出版権を獲得し、現在は妻で校正者のエリカ氏と共に執筆・編纂にあたっている。
ズザ氏が最近アメリカに訪れた際に、ジャズミュージシャンへ取材する機会を得て「ジョアン・ジルベルトがもたらしたジャズ界への影響」について話を聞いたところ、想像以上の成果を得たという。「ジョアンの影響は、カーネギー・ホール以前からあったというのです」。1962年にブラジルを代表する音楽としてボサ・ノヴァアーティスト達が開催したコンサート「ボサ・ノヴァ アット カーネギー・ホール」はボサ・ノヴァ史上の伝説として今も評価されている。一般的には、その大成功以後、大きな影響をもたらすようになったといわれていたが、それ以前から強い存在感があったという。
現在取り組んでいる評伝について「ジョアン氏が何度も同じ曲をリハーサルで演奏するので、猫が窓から逃げ出したという話を(ファンは)聞きたがりますが、私は本当にあったかどうか分からないゴシップは収録しません」――ジョアン氏の生涯には謎も多く、伝記作家には魅惑的な逸話も多く残っているという。
ジョアンの生涯でまだ詳細を描かれていないバイーア州を出てリオデジャネイロやポルト・アレグレで音楽活動をしていた時期、ボサ・ノヴァ誕生前史に関わるディアマンチーナ滞在時期などがある。ジョアンが演奏していた夜の社交クラブには、魅力溢れる彼の逸話がたくさん転がっており、まだその多くが真実かどうかの検証はされずにいる。新たな評伝編纂にあたり、それを検証しているまっ最中だという。