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《ブラジル》今週中に感染者200万人突破か=PCR検査能力は本来の20%=8割増しの可能性も

PCR検査の様子(Foto: Roque de Sa/Agencia Senado)

 新型コロナウイルスの感染開始から4カ月以上が経過する中、12日晩のブラジル保健省発表によれば、1日の死者631人で計7万2100人、感染者は2万4831人で計186万4681人となった。増加の勢いは高止まりした状態で、このままいけば今週中に感染者は200万人の大台を越えそうだ。
 拡大防止には、感染者を早く特定して隔離する政策が欠かせない。そのためには早く感染者を見つける検査数増加は必須だ。だがその検査自体、本来今頃には実施されているべき量の20%しか行われていないことが分かったと13日付エスタード紙が報じている。
 もしも本来の数が今実施できていれば、現在より80%も多い感染者数が検出されていてもおかしくない状況だ。正確な感染状況は、政府発表の感染者数だけを見ていても分からないことが、この数字からも伺われる。
 20%しか検査できていない理由として、保健省は「1500万個の検査キットの購入を始めているが、世界的な検査薬(reagente)の品不足のために達成できない」と釈明している。
 5月、保健省公衆衛生局長のワンデルソン・デ・オリベイラ氏は、国内の公的検査機関で1日7万件のPCR検査を6月には実現すると宣言していた。しかし、実際には、平均検査数は1万4500件と、予測件数の20・8%にとどまっている。
 保健省は5月初旬、今年中に2420万件の検査実施の予定を発表していた。だがこれまでに配布した検査キットは440万個にすぎず、うち実際に行われた検査はわずか120万件。年間実施予想数の4・9%にとどまっている。

 検査数を増やす上で大きな障害となっているのは、検体処理の各段階で必要となる検査薬の不足だ。この検査薬はブラジル国内で製造されておらず、ほとんどが輸入品だという。
 この処理には第2段階(RNA遺伝子の転写)、第3段階(遺伝物質の増幅)を行う必要がある。第3段階で検出された遺伝子を、コロナウイルスのパターンと比較して同じものだと確認されれば、陽性だと認定される。
 パライバ州公立検査センター総責任者のベルグソン・ヴァスコンセイロス氏によると、同研究機関には連邦政府から送られてきた8万4千件の第2段階の検査結果があるが、第3段階用の検査薬は3千件分しかないという。同氏は「第3段階の検査薬がない場合、第2段階の結果も意味がない」と話している。
 「公立検査センター網では、各センター平均1日1千件が処理できるように訓練されているが、試験薬が450~600件分しか支給されていないのが現状だ」と指摘した。ロンドニア、ゴイアス、パラナなど各州からも検査薬不足が指摘されている。
 保健省は、世界的な検査キット購入競争がブラジルでのPCR検査拡大の障害になっていると弁明。PCR検査キットがブラジルまで届いていても、大量のキットを保管するための各州の倉庫が不足など物流上の問題により、キットの一部がまだ各州に届いていないとも説明している。