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ボルソナロの新党、いつできる?

昨年11月の新党発表式のボルソナロ氏(Jose Cruz/Agencia Brasil)

昨年11月の新党発表式のボルソナロ氏(Jose Cruz/Agencia Brasil)

「ところでボルソナロの新党はいつできるの?」。熱狂的な人気と同じかそれ以上に強いボルソナロ大統領のアンチたちの間では、いろんなからかいネタがあるものだが、この「新党がいつまでたっても出来ない」のも、そのひとつだ。
 昨年11月、ボルソナロ大統領が社会自由党(PSL)離党後に意気揚々と発表した新党「ブラジル同盟(アリアンサ・ペロ・ブラジル、以下APB)」は、そこから8カ月を経た現在も、まだ発足のメドが立っていない。
「大統領の新党なのに、そんなに長い時間をかけても党ができないなんて、ありえるのか?」。事情をよく知らない方ならそう思われるかもしれない。かくいうコラム子も、その新党発足の手際の悪さに驚いている。それだけ時間がかかっているにも関わらず、現状でさえも、発足には程遠い情況だ。
「コレイオ・ブラジリエンセ」紙が15日付で報じたところ、APBは現時点で、新党承認に必要な49万2千人の国民の署名のうち、1万5762人しか選挙高裁から正式なものとして認められていないという。実に8カ月もかかって、必須の署名数のわずか3・2%しか集められていないのだという。
 しかも現時点で、「無効にされた署名」の数は、有効な署名数を1万人ほど上回る2万5386人。これらのうち、1万8112が「実在しない人や死亡した人」など、明らかに違反する署名だったという。
 現在、選挙高裁には、まだ9万8873人分の署名の審査待ちだというが、仮にこれがすべて有効署名として認められたとしても11万人ほどにしかならず、必要署名数の4分の1にも満たない数だ。
 それにしても、これだけの時間をかけて、APBは何をしてきたのだろうか。当初、この党は、「地方統一選出馬のための有効期限である3月末までに発足させる」予定で進んでいた。それに対し、多くの人たちが「そんな短期間での結党は難しい」と見ていた。案の定、3月末には間に合わず、今回の選挙は断念せざるを得なくなっていた。
 だが、その後、新型コロナウイルスの影響で、選挙が10月開催から11月に1カ月延期された。「もしかして、これでギリギリセーフで間に合う可能性がでてきたのではないか?」。コラム子もそう思い、気になっていたのだが、この有様では、全く話にならない。
 もっともボルソナロ大統領自身は、最初から地方統一選に関しては慌てて間に合わせようとはしていなかったともいう。本人にしてみれば、「22年の大統領選にさえ間に合えば」ということなのだろう。元々、組織で人を動かすタイプでも、人を育てるタイプでもないので、さもありなんだが、今回の選挙で地方にしっかりと足場を作らないと、大統領選でも勢いは出てこないもの。そこまでの計算はしてなさそうだ。
 ただ、今の感じでは、22年に仮に間に合ったとしても、党運営にあまり慣れていないうちの選挙になりかねず、心もとない感じがどうしてもしてしまうが。
 これはあくまでコラム子の予想なのだが、APBの発足が結局のところうまくいかず、既存の党に移籍してしまうのではないか。あるとしたら、大統領に非常に好意的な、ウニベルサル教会のエジル・マセド大司教の息のかかった「共和者」あたりか。今度のリオ市長選では同党のマルセロ・クリヴェラ現職市長の支援も行う予定なので、ありえない話ではないと思うが。(陽)