連邦下院議会は20日、来年からの基礎教育開発基金(Fundeb)のあり方を定める憲法改正案(PEC)を採決する予定だったが、連邦政府がこの週末に突然、修正案を出してきたため、21日以降に延期することを発表した。
PTからPSDBまで超党派が賛同して2007年に創設された同基金は、今年12月に期限を迎える。義務教育の機会平等を実現するための基金で、市、州、連邦政府が資金を出し合い、教育に回す資金が乏しい市に優先的に資金を回すという主旨で創立された。財政が苦しい市では教師の給与が満足に払えないところがあり、そのような自治体に優先的に補填されていた。
義務教育は市と州に主に責任があるが、連邦政府も10%を出資している。州税、昨年の同基金は州税1666億レアル、市税1514億レアル、連邦税が151・4億レアルの割合だ。
この憲法改正案の報告役のドリーニャ・セアブラ下議(DEM)は、連邦政府の出資金の割合を上げるプランを持っており、現行は10%だが来年から12・5%に上げ、徐々に増やして26年には20%する改正案になっている。
資金を出し渋る連邦政府は当初、現在の15%までと主張。対するドリーニャ議員は当初、40%まで増率することを望んでいたが、最終的には20%で妥協した経緯がある。
連邦政府は20%にすることを認める代わりに、今週末に突然、別の修正案を出してきた。新教育相の初仕事というタイミングだった。同基金を、将来的に創設する社会福祉給付金制度「Renda Brasil」に使えるようにするというものだ。PT政権が作って世界的に好評を博したボウサ・ファミリア(家族扶助)を発展的に解消し、別の福祉給付金制度と合併して、より幅広い貧困層に給付金を配るプランだ。
というのも同基金の資金は、政府予算の上限を定める「歳出上限法」の規制対象にならない。できるだけ新給付金制度の財源を増やしたい連邦政府は、20%に上げる代わりに、そこから新給付金制度に抜くという案を突然出したことで、採決が延期された。連邦政府は「貧困者への給付金の拡大方針に反対するのか」という建前を押し通そうとしている。
また政府修正案は22年から同基金を再開するという案で、来年が空白期間となることが問題視されている。ロドリゴ・マイア下院議長も「ドリーニャ下議のプランは均整の取れた良いもの。空白を作らず、来年から始めることを支持する」と表明している。
同基金は、5年前から議会での議論が行われていたが、昨年来、代々の教育大臣はほとんどのこの議論に参加せず、今回突然、修正案を出してきた形になっている。
憲法改正案なので513連邦下議中、308人の承認が2回必要、その後、上院でも3分の2の承認が2回必要。前もって広範な支持のある法案でないと可決される可能性は低い。