日本国外務省研修生OB会(上村ジャイロ会長)が2020―21年度就任式を21日晩、Zoomアプリを使ってオンライン開催し、上原テリオ新会長ら新執行部が就任した。同時に、OBの一人、原田清さんの叙勲祝い、野口泰在サンパウロ総領事の帰朝送別会もかねて開催され、伯国全体から約100人が参加、一斉に乾杯をして旧交を温めた。
同会は、1965年に日本国外務省が開始した、ラテンアメリカの日系社会で将来のリーダーになることを期待されている人物を日本に招聘する研修事業への参加者OB会だ。この55年間でブラジルから約200人が参加した。ここから錚々たるメンバーが輩出され、ブラジル社会、日系社会で活躍している。
最初に日系団体を代表してブラジル日本文化福祉協会の石川レナト会長が挨拶し、「OB会メンバーの多くが文協の役員になって運営を支えてくれていることに感謝。サンパウロだけでなく、多くの地域で同様の貢献がある」と称賛し、上原新会長の健闘を祈願した。
野口総領事は「帰朝1週間前にこのような会に参加で来て幸せ。上村会長に感謝。上原新会長にはぜひ延期された総会の開催実施をお願いしたい」との言葉を贈った。
議会審議参加中の西森ルイス連邦下議は録画映像を通して、「日本とブラジルの絆を強める重要な役割を担うこの制度の存続と、OBのさらなる活躍を」と願った。
一期生でOB会創立者の一人、渡部和夫元聖州高等裁判事も挨拶し、「研修制度50周年の節目である2015年に参加した、新世代のリーバーである上原氏が新会長になることを歓迎する。新しい息吹を会に吹き込んで」と称揚した。
上原新会長(二世、51歳)が挨拶。「諸先輩が日本での研修経験を糧に、ブラジルで活躍してきた後姿を拝し、ぜひ自分も日本文化をブラジルに広め、親日家を増やす働きの一翼を担いたい。コロナ禍の最中の就任となったが、この危機をチャンスに変えられるように取り組みたい」との抱負を熱く語り、最後に妻モニカさん、子息のアキンさん、アキオさん、アユミさん、父・武夫さんも画面に登場し、エールを送った。
次に、令和元年の秋の叙勲で旭日中綬章を受勲したOBの原田清氏を讃える会となり、06年に日系初の連邦高等裁判所判事に任命された上田雅三(うえだまさみ)氏が挨拶し、「法曹界における原田氏の貢献は言うまでもないことだが、日系コミュニティに対しても大きな仕事をしてきた。百周年を記念して日系移民史を彼が編纂・出版してきたことは大きな業績といえる」と高く評価した。
原田氏本人も「35年前に研修生に参加、日本への感謝の気持ちを忘れず、帰国後に3期会長をやった。それ以来、OB会とは切っても切れない縁がある。こうして祝ってもらえて本当に嬉しい」と感謝した。
帰国する野口総領事に贈る言葉を、大原毅(つよし)氏が「誰にでも分け隔てなく平等に接した総領事の人柄、ポ学習に熱意を持って取り組んできた成果をその挨拶から感じ、我々は本当にありがたく思っている。日本に帰ってもブラジルとの絆を強めるために手を貸してほしい」と語った。
最後に元サンパウロ州高等裁判事の巽(たつみ)ジョー氏が乾杯の音頭をとり、新執行部、野口総領事、原田氏それぞれに、画面と通して全員で献杯した。
5月に開催予定だったラ米10カ国の研修生OBが参加する第17回総会が11月13、14、15日に延期され、木多喜八郎氏がコーディネーターとなって開催される予定。来年は対面式でブラジル研修生OB会を開催したいと発表された。
【20―21年執行部】会長=上原テリオ、副会長=和田ロドルフォ、奨学金担当役員=服部レアンドロ、専務理事=中野マルシア、第2理事=松本フェルナンド、会計=木多ロジェリオ・マサミ、第2会計=早川ロドリゴ、文化理事=カワセ・アレシャンドレ、コミュニケーション理事=土井カロル・アヤコ、社交理事=上村パウロ・ケンゾウ、渉外担当理事=栗田クラウジオ、広報理事=ヤナギタ・コウジ、青山ルイス・ショウジ、桂川富雄