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《ブラジル》コロナで医薬品や消耗品不足の危機=保健省はクロロキンに躍起だが

コロナの医療現場(Yves Herman)

 新型コロナウイルスの治療に必須の医薬品類や医療消耗品が不足する状況だと5月に報告されていたのに放置して、保健省はクロロキンの生産配給にばかり気を配って浪費していたと、24日付エスタード紙が報じている。
 今年の5月から7月にかけて緊急オペレーション・センター(COE)のメンバーが行った報告によれば、コロナの医療現場に不可欠とされている鎮静薬や鎮痛薬、医療消耗品が集中治療室(UTI)で不足する可能性が近々あるという情報が、少なくとも5月14日には統一医療保健システム(SUS)の会議で報告されていた。これらの薬品は重病患者に人工呼吸器をつなげる際に必須の医薬品で、患者の苦痛を和らげるために欠かせないものだ。
 ところが、このときの連邦政府側の対応は「これらの薬品が足りてない証拠」の提出を求め、「それは州や市の責任だ」と突っぱねていたという。保健省の特別対処局局長のルイス・オタヴィオ・フランコ・ドゥアルテ大佐は7月13日に「国のせいではなく市がこうした薬を購買していないのだ」と語った記録が残っている。

 これらの薬はきわめて高価で、従来なら、保健省が国外からまとめて購入交渉をするようなタイプのもの。州や市にまかせれば不正購買の問題も起きかねない。結局、保健省が鎮静剤を一括購買することが決まったのが、不足報告から1カ月以上経った6月17日だったという。また不足する可能性のあると報告されていた医療消耗品267種のうち、88種類はインド製のものだった。
 こうした状況がある一方で保健省は、世界保健機関(WHO)がコロナの治療薬として認めていないクロロキン、ヒドロキシクロロキンの生産配給には力を入れていた。COEの情報によると、7月3日までに437万錠が全国の州市に配布され、もっと押し付けようとしていた。保健省にも400万錠のストックがある状態だという。
 今年に入り陸軍の製薬所は、ボルソナロ大統領の命令でクロロキンを120万錠製造したという。2016年には1年の生産量は26万5千個に過ぎなかった。