ボルソナロ大統領は25日、新型コロナウイルスのPCRテストでようやく陰性反応を示したが、その前後に、最高裁判事の命令で、大統領派の有力支持者たちのツイッターとフェイスブックのアカウントが大量に凍結される騒動があり、大統領本人もにコロナ拡散の責任を問われて国際刑事裁判所に告発状を出される事態が起きた。25~26日付現地紙が報じている。
大統領は25日のコロナのPCRテストで、ようやく陰性反応となった。7日に最初の陽性反応が出て、それ以後2回のテストでも3回連続して陽性を記録していた。陰性結果を受けると、大統領は早速ブラジリア市内をマスク無しでバイクで駆け回った。
その一方で、大統領の周辺では激震が起こっていた。24日、最高裁のアレシャンドレ・デ・モラエス判事は、フェイクニュース捜査で捜査対象となっている人物16人のツイッター・アカウント16件、フェイスブック12件が凍結した。
ブラジル労働党(PTB)党首のロベルト・ジェフェルソン氏や極右運動家のサラ・ウィンター氏、スーパーの「アヴァン」経営者のルシアノ・ハン氏、極右サイト「テルサ・リーヴリ」主催のジャーナリスト、アラン・ドス・サントス氏といった、ボルソナロ支持者としてかねてから有名だった人たちだ。前回凍結された人たちよりも、更に周辺部まで対象が広がった格好だ。
本人やその支持者たちは、この処分が行われた後、モラエス判事に対し、「言論統制だ」、あるいは軍事政権時代に言論統制を可能にした法律「軍政令第5条(AI5)を行なった」と同判事を批判した。大統領自身も彼らの処分解除を求めて動いている。
皮肉なことに、今回凍結されたのは、3月から断続的に行われていた「反連邦議会、最高裁」の際にデモ行進でAI5の復活を求めていた勢力だ。ジェフェルソン氏はマシンガンを持って最高裁の閉鎖を求める写真で物議を醸し、サラ・ウィンター氏は最高裁前に武器を持って立てこもり、最高裁に花火を発射して逮捕されている。
これと同じ日に、アンドレ・メンドンサ法相が、「アンチ・ファシズム」運動を行っているとされるた79人の連邦政府や州政府の職員、3人の連邦大学教授を「ボルソナロ政権を批判した」との理由で秘密裏に捜査していた疑惑が報じられた。この中にはシリア人権問題に関して国連報告官までつとめている人物まで含まれている。
モラエス判事の判断に加え、メンドンサ法相の疑惑を指して、どちら側からも「軍事独裁的だ」と攻め合って批判する声がネット上で飛び交っていた
一方、ボルソナロ大統領は25日、コロナ対策の甘さで大量の死者をブラジルで生んだとして、医療労働者組合「ウニサウーデ」から、ハーグの国際刑事裁判所に告発状を出される事態を迎えた。同裁判所が公判案件として受理するかどうかが注目されている。BBCニュースによれば、同大統領は他に4件の告発をされており、その中には先住民がコロナで大量に亡くなった案件も含まれている。