連邦政府や連邦大学内の「反ファシズム」的人物(左派活動家)を秘密裏にリストアップしていた疑惑に関し、それを行ったとされる統括捜査局(Seopi)のスタッフがアンドレ・メンドンサ新法相に近い人材が中心になっていたことが判明して波紋を呼んでいる。4日付現地紙が報じている。
法務省の一部局が、政府内部や周辺にいる人材の中から、左派活動家や反ボルソナロ政権的言動をする人物を洗い出してマークしていたことが暴露された。
具体的には、連邦政府や連邦大学職員や大学教授ら計579人がネットなどを通じて、ボルソナロ政権反対や、「反連邦議会、反最高裁」などの反民主主義的言動への反対を主張したとして、秘密裏にチェックされていた。
この件は、7月24日にサイトUOLが報じると「軍事政権時代の軍政令第5条(AI5)を彷彿とさせる」ような思想統制的行為として世間から厳しい批判を浴び、連邦検察庁も問題視しはじめている。
この疑惑に関し、メンドンサ法相は当初、「そのようなことは知らない」としらを切っていた。だが、Seopiを構成する4人の委員と10人のコーディネーターの計14人のスタッフのうち、9人が同法相に指名された人物であることが判明。就任以来、同組織と極めて密な関係にあった同法相が、この捜査を知らないということがありえるのかという疑惑が生じている。
この組織には、前任のモロ派人事が解雇され、同法相の指名者が入るという流れがあった。例えばセルジオ・モロ前法相がラヴァ・ジャット作戦担当判事だった時代にパラナ州連警の警察署長をつとめたロザゥヴォ・フランコ氏が解任され、2018年3月に殺害されたマリエレ・フランコ元リオ市議の殺害証拠隠滅に関して捜査したリオ連警だったレアンドロ・アルマーダ氏が指名されたりしている。
大統領と対立して4月24日に法相を辞任したセルジオ・モロ氏によると、Seopiは本来、大型汚職やネット犯罪の防止を目的として同氏が作った局だ。「政敵に関する情報収集を行うためのものではない」と設立意図を説明している。
メンドンサ法相は今回の件で、連邦議会から供述するよう召集を3回も受けており、政党から最高裁に捜査を求める動きすらある。
同法相は2日、当初とは態度を豹変させ、「法務省内で、疑惑に関しての捜査班を作り、事実を明白にしたい」との意向を示した。3日にはSeopiの局長だったジウソン・リボーリオ氏が解任されている。
ロドリゴ・マイア下院議長は3日。クルトゥーラ局討論番組に出演した際、メンドンサ法相の件に触れ、「彼の立場は日に日に悪化している」と皮肉っている。
一方、ボルソナロ大統領は、ブラジル情報局(Abin)に代わって、軍事政権時代の情報局だった全国情報サービス(SNi)を復活させたがっているという報道も浮上している。