ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》最高裁がモロ敗北判断下す=ルーラ裁判からパロッシ証言除外=大統領選時の疑惑を酷評

《ブラジル》最高裁がモロ敗北判断下す=ルーラ裁判からパロッシ証言除外=大統領選時の疑惑を酷評

セルジオ・モロ氏(Fabio Rodrigues Pozzebom/Agencia Brasil)

 最高裁の第2小法廷は4日、ルーラ元大統領関連のラヴァ・ジャット作戦裁判に関して、元財相、官房長官のアントニオ・パロッシ被告の報奨付証言(司法取引、以下デラソン)を不十分なものとして除外する判決を下した。
 この証言は2018年10月の大統領選の一次投票直前に、担当だったセルジオ・モロ連邦控訴裁判事(当時)が公開を許可した結果、現大統領の対立候補だった労働者党(PT)のフェルナンド・ハダジ氏が不利になった経緯がある。5日付現地紙が報じている。
 今審理の議題は、ルーラ氏がパラナ州連邦裁判所に抱える第一審案件のことだった。この裁判は、ルーラ氏がルーラ研究所(サンパウロ市イピランガ区)の土地を最大手建築会社だったオデブレヒト社からの賄賂で買い、さらにサンベルナルト・ド・カンポ市の自宅アパート購入も同社の金で行ったとの疑惑に関するのものだ。
 この件に関して、パロッシ氏のデラソンを使用しないことをルーラ氏の弁護側から求められていたが、判事投票2対1で認められた。賛成したのはジウマール・メンデス、リカルド・レヴァンドウスキー両判事で、反対したのは報告官のエジソン・ファキン判事だった。
 メンデス判事は「3カ月も前に承認されていたデラソンの内容を、大統領選の一次投票直前に公表したというのは、かなり意図的なものに映る」と、モロ氏の判断を厳しく批判した。
 さらに同判事は、モロ氏が判事時代すでに、パロッシ氏のデラソンを裁判での証拠案件としては使わず、ルーラ氏との共犯の可能性を示すものとしてのみ使うとしていたことを指摘した。

 レヴァンドウスキー判事は「(証言中心の)デラソンを証拠として認めること自体、すでに政治的偏りを示している」として、パロッシ証言を裁判で使うのを認めなかった。
 ファキン判事は「判事の判断、行為の自由」を主張したが退けられた形となった。
 これに対してモロ氏は「デラソンが裁判に使われることは、これがはじめてではない」と反論した。
 ただし、モロ氏のルーラ氏に対する行動は、大統領選前後から物議を醸していた。17年のルーラ氏のサンパウロ州グアルジャ―の高級アパートを介した収賄と資金洗浄の裁判で、モロ氏は完全な証拠がないままルーラ氏に9年の実刑判決を下し、さらに大統領選の一時投票の6日前に、過去に承認が却下されたこともあるパロッシ氏のデラソン内容を突如公表し、ルーラ氏の代理候補のハダジ氏に打撃を与えた。
 そして大統領選の後、モロ氏は大統領選に勝利したボルソナロ氏の指名で法相に抜擢された。この際に「大統領選終了の前からすでに打診が行われていた」との報道もあり、モロ氏の行動が疑問視されていた部分もあった。