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≪ブラジル≫財政収支7千億レの赤字=コロナ対策で大盤振る舞い=公的債務GDPの117%説も

ブルーノ・フンシャル国庫局長(Agencia Brasil)

 新型コロナウイルスの感染爆発(パンデミック)により、2020年の基礎的財政収支が7千億レアル赤字になると、9日付エスタード紙が報じている。この金額は、国内総生産(GDP)のおよそ10%に相当する額であり、国民一人あたり3300レアルを負担している計算になる。これをボウサ・ファミリア支給額に換算すると21年間分にあたる。
 連邦政府は昨年、20年の基礎的財政収支の赤字額を1240億レアルと予算計上していた。だがコロナウイルス対策で、その数字は一気に約6倍に跳ね上がった。
 コロナに伴う公的債務額の合計は20年に、前年比で22・4%ポイント上昇することにもなるという。19年に公的負債がGDPに占める割合は75・8%だったが、20年にはそれが98・2%にまで上がる。これはブラジル史上で最大の赤字額であり、リーマン・ショックによる金融危機直後の2009年の約6倍の額で、2013年から19年までの債務を足したものに相当する。
 国庫庁によると、このパーセンテージは向こう4年ではほとんど変わることなく、2024年に98・6%まで行った後に徐々に下がって、2029年でもまだ92・2%となる見込みだという。
 ただし上院関連の独立会計研究所(IFI)の研究によると、純債務ではGDPの100%を超えると見られており、2022年には100%に達し、2030年には117・6%まで上がると見られている。

 もし不況が悪化して企業が税金支払いを滞納するような事態が起こると、この負債額がさらに1千億レアル増える可能性がある。
 加えて、国がコロナ緊急援助金の支給期間をさらに延長することになれば、さらに2千億レアルの支出がかさむ。そうなると年間の赤字額は1兆レアルに到達する可能性もある。
 ただ、債務を軽減する要素も残されてはいる。たとえば、基本金利(Selic)が史上最低を記録する状態であるため、国債の利払いが連邦政府が見込んでいる平均4・7%を下回る可能性がある。
 また中小企業支援目的で作られた信託保証ファンド(FGC)に送金した359億レアルが、連邦政府に返金される可能性もあるとされている。
 このコロナ対策予算は、歳出上限法を一時停止するという「戦時体制並み特別予算」として5100億レアルが計上された。そのうち、実は現時点で支払い済みは2738億レアル(53・7%)のみ。残りの1233億レアル(24・2%)は支払う上で何らかの問題が起きて、まだ振り込まれていない。最後の1100億レアルも「戦時予算」期限の年末までに全額使われるかは疑問視されている。