ラシャジーニャ疑惑で現在自宅軟禁中のファブリシオ・ケイロス容疑者が、ボルソナロ大統領の下議時代の職員だった娘のナタリア氏から、給料の大半の額にあたる振込を受けていたことが明らかになった。同疑惑が長男フラヴィオ上議だけでなく、大統領本人にも降りかかってきた。13日付フォーリャ紙が報じている。
ナタリア氏は、父ファブリシオ氏と同様に、かつては大統領長男フラヴィオ上議のリオ州議時代の幽霊職員だった。その後にボルソナロ大統領の下議時代の職員になり、その時代にリオで芸能人を顧客に持つインストラクターとして働いていて、ブラジリアで職員として勤務している実態がなかったことは以前から報じられていた。
フォーリャ紙が今回、旧・金融活動管理審議会(Coaf、現・中銀財務情報部)の調査データからつかんだ情報によると、ナタリア氏は2017年1月から18年9月にかけて15万539・41レアルの振込みを、父に行っていたことが明らかになった。職員を務めたのは16年12月から18年10月まで。
これは、彼女がボルソナロ氏の職員として受け取った給料の77%にあたる額だ。しかも父の口座への振込日はどの月も21日から24日と、給料支払いの直後に行われていた。典型的な給与キックバック(ラシャジーニャ)の手口と見られているやり口だ。
彼女は、フラヴィオ氏の職員だった2007年12月から16年12月にかけても父の口座に支払いを行っていた。ケイロス氏は合計200万レアルほどのキックバックを受けていたとされるが、ナタリア氏からの支払いはその35・4%を占める。それがナタリア氏の給与全体に占める割合は82%に及んでいた。
ケイロス家ではナタリア氏だけではなく、妻マルシア・アギアル氏、もうひとりの娘エヴェリン氏もフラヴィオ氏の幽霊職員として登録されており、一家からのキックバックの額は全体の58%にも及んでいた。
ケイロス氏の現時点で確認されているラシャジーニャの額は口座に記録されている200万レアル。だがリオ州検察局は、口座に記録が残らない現金での受け取りが存在する可能性も疑っていると見ている。
また、ケイロス氏が12年間のうちに引き落とした9万レアルほどの金が何に使用されたのかも注目されている。
ケイロス氏には、フラヴィオ氏の個人的な経費、健康保険や光熱費、娘の学費など合計26万1千レアルの支払いをすべて現金で行っていたこと、ボルソナロ氏の妻ミシェレ氏に合計で8万9千レアルの小切手を手渡していた事実も発覚している。
この件に関しての大統領の弁明は、13日午後時点で出されていない。