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≪ブラジル≫公務員給与調整問題=下院が上院決議ひっくり返す=大統領の拒否権を維持

マイア下院議長(Najara Araujo)

【既報関連】19日に上院で却下された、ボルソナロ大統領による公務員給与調整に対する拒否権が翌20日に下院投票で再度逆転した。20日付現地紙が報じている。
 ボルソナロ大統領の拒否権行使は、公務員の給与調整を来年までしないことで、市や州へコロナ対策支援金を給付する財源を確保するために行われた。経済スタッフは給与調整による損害を1300億レアルと算出していた。
 だが、この給与調整が医療や治安関係者といった、新型コロナウイルス対策最前線にいる公務員も含んだものだったことから、上議らは「これらの人々がすでに多くの命を落としている」という反発につながり、19日の投票で42対30で、拒否権が却下され、給与調整が可能になった。公務員は全労働者の15%を占める大票田であり、政界に大きな影響力を持っていることも背景にある。
 この結果に連邦政府は驚き、事態を何とか元に戻そうと、19日夜に行われる予定だった下院での審議を翌日に延期させ、その間にロドリゴ・マイア下院議長やセントロン系の政党に協力を求めた。

 ボルソナロ大統領自身も、メディアを通じて、拒否権が却下された場合の国の損害額を訴え、議会調整役のルイス・エドゥアルド・ラモス大統領府秘書室長官もそれに続いた。
 すると、マイア下院議長は政党リーダーたちとの会議の後、20日午前、拒否権を維持するようつとめると宣言。マイア議長は、連邦政府の歳出上限の厳守を日頃から主張するなど、ゲデス経済相の主張に理解を示している。
 連邦政府側のこの説得工作が実り、20日夜に下院で行われた投票では、483人の下議中、拒否権却下票を165票に押さえ込み、大統領の主張が維持された。政府がセントロンとの同盟を開始して以降、初めて目に見える成果につながった。