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《ブラジル》緊急支援金再延長分は300レアルに決定=レンダ・ブラジル金額は後回し

21日のイベントで緊急支援金の支給延長を約束したボルソナロ大統領(同日付G1サイトの記事の一部)

 ボルソナロ大統領が年末まで延長すると約束した、コロナ禍に伴う低所得者などへの緊急支援金の金額を300レアルとする事を、ブラジル政府の経済スタッフが決めたと27日付現地サイトが報じた。
 低所得者や失業者、零細・個人企業家などへの緊急支援金は、コロナ禍で職を失ったり、収入が減少したりした人にとっては命綱ともいえるもの。当初予定された3カ月間が2カ月間延長され、この間の支給額は月額600レアル(家計を支えている女性には1200レアル)だった。それが再延長され、その金額が300レアルと発表された。
 コロナ禍で経済活動も縮小する中、緊急支援金は、失業や時短・減給によって収入が減少した人達が極貧状態に落ちいったり、食に窮したりするのを防ぐだけでなく、国内総生産(GDP)が大きく落ち込むのを防ぐ役目も果たしている。
 また、緊急支援金の支給とその延長は、これまではボルソナロ大統領への支持率が低かった北東部や北部での支持率上昇を招いた。この事を知った大統領は、22年の大統領選と支援継続を求める議会からの声の双方に目を向け、21日に年末までの延長を明言。ただし、この時点では支給額は未定だった。
 他方、ゲデス経済相らはこの間も、景気刺激策としてのインフラ投資や事業計画を扱うプロジェクト「プロ・ブラジル」や、ボウサ・ファミリアに替わる生活扶助の「レンダ・ブラジル」などの経済政策の準備を続けていた。

 だが、レンダ・ブラジルでの平均支給額に関して、歳出上限法が定めるインフレ率までという予算増額に縛られる経済相と、300レアル以上にしたい大統領との間で折り合いがつかないなどの問題が生じていた。
 そんな中、ゲデス経済相がとり急いで提示したのが、今後の緊急支援金の方を300レアルにする案だった。大統領は28日「月に500億レアルが必要で、現行額(600レアル)維持は無理」との見解と共に、支給額を明らかにした。
 大統領は、支援金の額が決まった事で一息ついた形だが、市場関係者は支給額が半減すれば、所得が減った労働者の購買力が落ち、景気回復にブレーキがかかると案じている。
 ただし、緊急支援金を引き継ぐ形で始まる予定のレンダ・ブラジルの平均支給額の発表はまだだ。大統領が望んでいる種々の恩典の維持などを全て盛り込めば、月額平均300レアル以上の支給をあきらめるか、対象者の枠を縮小する必要も生じかねない。
 なお、各省や議会からの圧力もあり、大統領はゲデス経済相にレンダ・ブラジル見直しを命じた後、プロ・ブラジルの規模を65億レアルに拡大した。
 ゲデス経済相は40億レアルを考えており、立て続けで意向を否定された事になる。65億レアルの内の33億レアルは議員割当金として票田固めに使われる見込みで、地域開発省とインフラ省には16億レアルが振り当てられる見込みだ。
 また、コロナ禍で税収が減ったのに経費が増大し、赤字が拡大している事などもあり、国家通貨審議会は27日、中銀が為替差益など、計3250億レアルを国庫に回す事を承認した。