2日、連邦高等裁判所(STJ)でウイルソン・ヴィッツェル・リオ州知事(キリスト教社会党・PSC)の停職措置の是非をめぐる審理が行われ、14―1の圧倒的大差で停職が決まった。これで、ヴィッツェル氏は正式に180日間の停職となった。3日付現地紙が報じている。
ヴィッツェル氏の停職措置は、8月28日に連邦警察の「トリス・イン・イデム作戦」が行われた際に、STJのべネジト・ゴンサウヴェス判事が単独で下したもの。ヴィッツェル氏はリオ州保健局がコロナ禍の最中に起こした不正工作での収賄容疑などに問われている。却下こそされたものの、検察からは逮捕請求も出ていた。
この審理は、単独判断による停職処分を不服としたヴィッツェル氏が起こしたものだった。だが、審理はヴィッツェル氏にとっては厳しいものだった。
報告官をつとめたゴンサウヴェス判事に続いて、判事たちはこぞって同判事の判断に従う意思を見せた。10票を超えれば同判事の判断が追認される。だが、反対票を投じたのは、「停職を決めるのは州議会の役目だし、停職の判断が大法廷の審理にかけずに下されたのは不適切だった」と主張したナポレオン・ヌーネス・マイア判事のみ。セルジオ・クキナ判事に至っては知事逮捕まで主張した。
そして最後は、ウンベルト・マルチンス長官も停職へ賛成票を投じた。原則、STJでは、得票が7対7の同点になった場合のみ長官は投票する。この異例といえる長官投票で、投票結果は、ヴィッツェル氏には屈辱の14―1の結果となった。
弁護側はこの結果を不服とし、最高裁(STF)に訴えようとしたが、STFのジアス・トフォリ長官は「STJの結果をSTFが変えることはない」として却下。これでヴィッツェル知事の停職が正式に決まった。
この決定を受け、ヴィッツェル氏は声明を出し、「審理結果を尊重する」としながらも「私は違法なことなどしていない」と身の潔白を主張し続けた。
ヴィッツェル氏の今後の命運はリオ州議会での罷免審議にかかっている。同氏は州議らに向けて「リオ州議会には私が知事職を継続できるよう取り計らってくれるよう要請する。さもなくば、リオ州が困難に直面する」との文書を送った。
リオ州はセルジオ・カブラル氏やアントニー・ガロチーニョ氏、ロジーニャ・ガロチーニョ氏など歴代知事が逮捕されるという不祥事が続いている。カブラル知事時代の不正で州財政が崩壊していることは周知の事実だ。
ヴィッツェル氏が不在の180日間は、副知事のクラウジオ・カストロ氏(PSC)が代行する。同氏は既に州への支援を仰ぐべく、ゲデス経済相との直接交渉を行うなど、知事代行として動きはじめた。カストロ氏自身も、ヴィッェル氏同様、保健局のスキャンダルで捜査対象になっているが、ヴィッツェル色を一掃するために同氏との繋がりの強い州局員らの交代を示唆しているという。