9日午前、連邦警察がリオ州のラヴァ・ジャット作戦に付随した捜査を行った。今回の捜査は、リオ州商業連盟や、リオ州の社会商業サービス(SESC―RJ)と同全国商業職業訓練機関(Senac―RJ)が弁護士事務所に対して支払っていた公金の一部が賄賂だったとの疑惑に関するもの。ボルソナロ大統領、ルーラ元大統領、ウィルソン・ヴィッツェル・リオ州知事の現・元弁護士らが捜査対象となった。9日付現地サイトが報じている。
「システムS作戦」と呼ばれる捜査は、リオ州のラヴァ・ジャット作戦が2018年に行った「ジャブチ作戦」に付随するものだ。これは、リオ州商業連盟元会長で、SESC、Senacの会長も務めていたオルランド・ジニス氏の行った報奨付証言(司法取引証言)に基づくもの。リオ州などを対象として、50件を超える家宅捜索令状が出された。
連邦検察庁リオ支部によると、商業連盟、SESC、Senacは、2012~18年に、3億5500万レアルを弁護士たちに支払った。そのうち、少なくとも1億5100万レアルは、ジニス元会長や弁護士事務所に横流しされたものだったという。
SESCやSenacは、頭文字をとって「システムS」と呼ばれる文化施設・職業訓練機関のなどの巨大民間組織だ。SESCやSenacは、商業連盟の仲介で、弁護士事務所や第3者との間で偽の契約書を作り、実際のサービスは行われていなかったにも関わらず、高額の報酬を弁護士事務所に支払っていた。弁護士事務所に払われていた金額は、各機関の年間予算額の50%を超えていたという。
SESCやSenacの事業や運営には税金から巨額の補助金が入れられており、これらの機関の予算が横流しされた場合、明らかな犯罪行為となる。
今回の捜査の対象には、これまで州内の数々のラヴァ・ジャット作戦の捜査で逮捕され、現在は服役中のセルジオ・カブラル元知事や、同夫人のアドリアーナ・アンセルモ氏も含まれている。また、全26人に及ぶ捜査対象の中には、ボルソナロ大統領や長男フラヴィオ上議の弁護を務めたフレデリック・ワセフ氏も含まれる。6月にラシャジーニャ疑惑で逮捕されたファブリシオ・ケイロス容疑者をかくまっていたことでも知られている人物だ。
また、サンパウロ州グアルジャ―の高級三層住宅を介した贈収賄疑惑をはじめ、ルーラ元大統領の弁護を担当しているクリスチアーノ・ザニン氏、コロナ感染爆発時に起きたリオ州保健局絡みの不正疑惑などで知事停職処分となったウィルソン・ヴィッツェル氏の弁護士のテレーザ・バジリオ氏も含まれている。
この他、連邦高等裁判所(STJ)のウンベルト・マルチンス長官の息子のエドゥアルド氏や、STJ元判事のセーザル・アスフォル・ロシャ氏とその息子も含まれている。
検察によると、今回の横流しの計画はジニス氏が企てたもので、そこに弁護士たちが乗ったものだという。収賄の疑惑としては、ザニン氏がパートナーのロベルト・テイシェイラ氏と共に6780万レアルを受け取ったとされたほか、バジリオ氏が630万レアル、ワセフ氏が270万レアルの賄賂を受け取ったとされている。