弓場農場の創設者である弓場勇さんの娘、弓場勝重(ゆば・かつえ)さんが『ブラジルの弓場農場・輝かしき開拓者』を出版した。ページ数は103頁で、日本語とポルトガル語で書かれている。
毎年『クリスマスの集い』でバレエやクラシック演奏、演劇などの公演でおなじみの弓場農場は、1935年に「ブラジルの処女地に新しい文化の創造を」の志を掲げて弓場勇さんと7人の有志により創立された。
弓場勇さんは「祈ること、土と共にあること、芸術すること」を基本にコミュニティを立ち上げ、今もなお様々な文化活動が行われている。
弓場勇を支えながらコミュニティの欠かせない土台を築いた21人について、勝重さんの目から見た姿が具体的な思い出と共に語られている。
今本武士(たけし)さんの節では、仕事の休み時間に自分の部屋に子供たちを集めて、絵本を読み聞かせていた風景が次のように語られる。
《そこには一つの花が咲いたように子供の笑顔があるのです。読んでいる声が大きいので、食堂のすぐ近くにあった部屋から、その声が聞こえてきて、私たちもその話を楽しんでいました。のどかな弓場の風景が、ゆったりと本を読んでいるタケちゃんの声と溶け合うのです》
勝重さんの似顔絵と温かい文章により、人物像が鮮やかに浮び上がり、弓場の空気や生活も感じられる1冊となっている。
価格は40レアル。本紙の社長秘書室(マリアさん、11・3340・6060)、太陽堂(11・3208・6588)、竹内書店(11・3104・3399)、高野書店(11・3209・3313)などで購入できる。